今回は肩関節唇損傷になってしまったときの対処法について書いていきます。
肩関節唇損傷は、肩関節の土手になっている線維性の軟骨部分の損傷をさします。
投球動作を繰り返したり、肩関節脱臼を起こすような外力によって発生します。
野球などのオーバーヘッドスポーツや、ラグビーなどのコンタクトスポーツの選手で肩関節唇損傷に困っている選手は多いのではないでしょうか。
今回はそんな肩関節唇損傷について解説していきたいと思います!
目次
肩関節唇損傷とは?
肩関節唇損傷とは、肩関節の受け皿である肩甲骨関節窩の土手の部分である線維性軟骨(図1)の損傷をさします。
肩関節唇損傷は基本的に2つのパターンがあり、オーバーヘッドスポーツに多い①SLAP損傷と、コンタクトスポーツに多い②バンカート病変があります(図2)。
- SLAP(Superior Labrum Anterior and Posterior)損傷:オーバーヘッド動作の繰り返しによって上腕二頭筋長頭腱に負荷がかかり、上腕二頭筋長頭腱が付着している上方関節唇の損傷が起こっている状態をさします。損傷の程度によって4タイプに分類されていて、場合によって手術療法が必要になります。
- バンカート(Bankart)病変:肩関節の脱臼に伴って起こる、肩関節唇の前下方部分の損傷をさします。この前下方部分の関節唇は、肩関節の脱臼を防ぐために重要な土手になっていますので、バンカート病変が生じると肩関節脱臼が起こりやすくなってしまいます。
図1:肩関節唇の位置。肩甲骨関節窩の周囲を土手のように覆っています。
図2:関節唇損傷のイメージ図。上方の関節唇損傷をSLAP損傷、前下方の関節唇損傷をバンカート病変と呼びます。
肩関節唇損傷が起こりやすいシーン
SLAP損傷は、野球の投球動作やバドミントンのスマッシュ、バレーボールのスパイク動作などのオーバーヘッド動作を繰り返すことで生じやすいです。
バンカート病変は、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで肩関節脱臼に併発することが多くあります。
肩関節唇損傷のよくある症状
SLAP損傷では、オーバーヘッド動作を行っているときの痛み、手を上げたときの痛みなど様々な痛みが出ます。
バンカート病変は、基本的に肩関節脱臼に併発するため、コンタクト時の激しい痛み・肩が抜けた感覚など肩関節脱臼の症状を示します。
病院で行う検査
基本的には、診察とMRI検査で診断を行います。
肩関節脱臼に伴うバンカート病変は、骨の損傷(骨性Bankart病変、Hill-sachs病変)の有無を確認するため、レントゲン検査・CT検査を行うこともあります。
画像検査の他には、問診(痛みが出た状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(Anterior slide test、Yergason test、Apprehension testなど)などを行います。
肩関節唇損傷と診断されたら
保存療法、手術療法のどちらも選択される場合があります。
SLAP損傷、バンカート病変ともに、損傷の程度やスポーツ活動レベル、選手のニーズに応じて専門医の先生としっかりと相談して治療方針を決めていきましょう。
特に、肩関節脱臼に伴うバンカート病変は手術をするかどうか非常に悩ましいケガですので、肩関節脱臼の記事で詳しく解説していきます。
今回は、肩関節唇損傷の保存療法のリハビリテーションの流れを説明していきます!
肩関節唇損傷のリハビリテーション
SLAP損傷、バンカート病変ともに、専門医の先生から保存療法で治療していきましょうと話があった場合を想定して書いていきます。
期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!
✅ 患部の炎症を抑える
✅ 肩の関節の位置を良くする
✅ 肩の腱板筋を鍛える
✅ 姿勢を良くする
✅ 体重をかけたトレーニングを開始する
✅ 軽いスポーツ動作のフォームチェック
★リハビリ後期
・背中・肩甲骨の柔軟性改善!(←背中にボールを入れてストレッチ)
・肩周囲の筋肉をマッサージする!(←ボールなどで、肩甲骨周囲・肩周囲のマッサージ)
・姿勢を良くする練習!(←胸を張る練習、普段も姿勢を良く)
・肩の腱板筋の筋トレ!(←まずは自重負荷のエクササイズからスタート)
関節唇は土手の部分なので、上腕骨が土手に乗り上げないようにクルクル上手く使うイメージをしましょう!
・体重をかけたトレーニングを開始!(←四つ這いやプランクなどをスタート)
・スポーツ動作のフォームをチェック!(投球動作などはシャドーで行う)
このとき、体幹・肩甲骨の安定性は重要です!
・スポーツ活動を徐々に再開!(←フォームに注意)
まとめ
ここまで、肩関節唇損傷の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
肩関節唇損傷はしっかりリハビリをしないと長引きやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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