今回はフットボーラーズアンクル(footballer's ankle)の対処法について書いていきます。
フットボーラーズアンクルは、「足首の前が詰まる」などの症状を訴えることが多く、サッカー選手に多いケガです。足首前方の骨が変形し手術適応になることもありますが、症状をコントロールするためには足首のリハビリがとても重要になります。
今回はそんなフットボーラーズアンクルについてポイントを解説していきたいと思います!
目次
フットボーラーズアンクルとは?
フットボーラーズアンクルとは、正式には衝突性外骨腫(impingement exostosis)と呼ばれ、足関節全面に形成された骨棘(骨が変形して出っ張ってくる)の衝突によって痛みや可動域制限が生じている状態をさします[1]。
「足首が詰まる」ことが主症状ですが、その原因は「骨」と「軟部組織」に大別されます。
この足首が詰まっている状態(骨・軟部組織含む)は、足関節インピンジメント症候群と呼ばれ、前方インピンジメント症候群(anterior ankle impingement syndrome)、後方インピンジメント症候群(posterior ankle impingement syndrome)に分類されます(表1)。
前方インピンジメント症候群のうち、原因が骨である場合に衝突性外骨腫やフットボーラズアンクルなどと呼ばれます(図1)[2]。
後方インピンジメント症候群のうち、原因が骨である場合は三角骨障害と呼ばれています。
足関節インピンジメント症候群 | 前方インピンジメント症候群 |
・衝突性外骨腫 ・フットボーラーズアンクル |
骨性 |
軟部組織性 | |||
後方インピンジメント症候群 | 三角骨障害 | 骨性 | |
軟部組織性 |
骨棘があるスポーツ選手56人を調査し、痛みを感じていたのはわずか6名だったという報告もあります[3]。
そのため、骨棘≠痛みと考えても良いかもしれません。
フットボーラーズアンクルを起こしやすいシーン
その名の通り、サッカー選手など足首をよく使うスポーツで多く発生します[3]。
フットボーラーズアンクルのよくある症状
特に、足関節背屈運動(足首が曲げる)で痛みが生じます。
病院で行う検査
レントゲン検査を行ない、骨の状態を確認します(図3)。また、CT検査を行うことで骨棘の大きさや位置、形状などを詳しく確認することができます。軟部組織の状態確認するためには、MRI検査が有用です。エコー検査でも、簡便に足関節前方の骨棘や軟部組織の状態を確認することができるため非常に有用です。
一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(腫脹・痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(足関節背屈運動時痛)などを行います。
骨棘の大きさと予後はあまり関係が無いようです[5]。
症状と骨棘の大きさなどを総合的に判断して治療方針を相談できると良いと思います。
フットボーラーズアンクルと診断されたら
基本的には保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します。
一方でリハビリを行っても効果がなく、日常生活やスポーツ活動に支障がある場合は手術療法が選択される場合もあります[1]。
手術療法を行っても、足関節の動きが悪い場合は骨棘が再発してしまうこともあります。
そのため、治療方針に関わらず、復帰には足首の動きを良くするリハビリが必要不可欠です。
ここからリハビリについて説明していきますね。
フットボーラーズアンクルのリハビリテーション
リハビリのポイントは、「腫れのコントロール」、「足首周りの動きの改善」、「足首・周囲の固定力up」です!
※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
・荷重なしで足首・足趾の筋トレ!(←座ってカーフレイズ、タオルギャザーなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
まとめ
ここまで、フットボーラーズアンクルの方針やリハビリテーションについて書いてきました。
フットボーラーズアンクルは痛みが残りやすく再発することも多いケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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参考文献
[1]近藤英司 編集. 足関節インピンジメント症候群. 衝突性外骨腫 -講座スポーツ整形外科3 下肢のスポーツ外傷・障害- 中山書店. 2021. 304-316