膝半月板損傷とリハビリテーション

今回は膝半月板(meniscus)を損傷してしまったときの対処法について書いていきます。

半月板損傷は膝の腫れやひっかかり感、痛みなど多くの症状を引き起こします。

深刻な損傷だと手術適応になる場合もあり、大変なケガなんです。

今回はそんな半月板損傷について解説していきたいと思います!

 

スポンサーリンク

膝半月板損傷とは?

膝半月板とは、膝関節(大腿骨と脛骨)の間にあるクッションの役割をした線維軟骨です(図1)。

 

膝半月板
図1:膝半月板のイメージ図。内側半月板はmedial meniscus(MM)、外側半月板はlateral meniscus(LM)と呼びます。

 

大腿骨の関節面は丸い形をしているので、半月板や靱帯がないと脛骨の上から落ちてしまいます。

半月板があることで、脛骨の上に大腿骨がフィットしているんです。

そのため、半月板を損傷すると膝曲げ伸ばしでひっかかり感痛みが生じます。

深刻な損傷では、関節の中で半月板がひっかっかり、「※ロッキング」という症状が起こることもあります。

また、膝が腫れる(水がたまる)のもよくある症状の一つです。

 

半月板損傷には様々な種類があり(図2)、スポーツ復帰時期は、損傷の度合いによってさまざまですが、早くて1ヶ月、手術によっては半年以上かかることもあります。

膝半月板損傷
図2:膝半月板損傷のイメージ図。水平断裂、縦断裂、横断裂、バケツ柄状断裂、フラップ状断裂などに分類されています。

 

あきと
※ロッキングは、膝がロックされたように曲げ伸ばしできなくなることをさします。

膝半月板損傷を起こしやすいシーン

急性的な損傷(外傷)と慢性的な損傷(障害)の2パターンがあります。

急性外傷では、膝前十字靭帯損傷に合併して生じることが多いです。

また、思いっきり膝を伸ばしきって(過伸展)しまった時も半月板損傷してしまうことがあります。

慢性障害では、ステップワークなどで踏ん張る時に膝の内側or外側の痛みが出てきます。

半月板損傷は手術が必要な場合もありますので、必ず病院を受診しましょう

 

膝半月板損傷でよくある症状

・膝の内側(外側)が痛い
・膝を深く曲げると痛い
・あぐらをかくと痛い
・膝に水がたまる
・ロッキング

あきと
ロッキングしてしまったら、すぐに病院に行きましょう!

病院で行う検査

病院で膝半月板損傷と確定診断するためには、MRI(磁気共鳴画像)検査が必要です。

一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(内外側関節裂隙の圧痛など)、スペシャルテスト(McMurray test、膝蓋跳動テスト)などを行い膝半月板損傷の疑いがある方はMRI検査となります。

 

あきと
半月板損傷は、断裂の形態や位置によって治療法が異なります。
診断にはMRI検査が必要です。

膝半月板損傷と診断されたら

保存療法手術療法が適応されます。

手術療法が適応かどうかは難しい判断になります。

半月板の損傷形態、損傷している部位、症状などで総合的に判断しますので、専門のスポーツドクターへの受診をお勧めします。

 

それぞれの、リハビリについて解説していきます!

 

膝半月板損傷のリハビリテーション

保存療法、手術療法それぞれについて解説していきます!

 

保存療法のリハビリテーション

まずは保存療法です!

経過は、症状によってさまざまですので、記載している時期は目安だと思って下さい。

もっと短い場合も、長い場合も多々あります。

今回は、2ヶ月復帰のイメージで記載していきます!

 

炎症期(関節内に腫れが溜まっている時期)
RICE処置
・膝関節アライメントの調整(膝の捻れを修正)
・内側広筋の筋トレ!

あきと
関節の腫れはなかなか引きにくいため、徹底してアイシングを行います。
しかしながら、1〜2日ではなかなか引きません。
そのため、関節運動の捻れの改善や筋トレを平行して行っていきます!
リハビリ前期(腫れが落ち着いてきた時期 〜3or4週間)
・可動域を改善する!(←膝の曲げ伸ばし、周囲の筋肉のマッサージ)
・太ももの前と後の筋肉を鍛える!(←大腿四頭筋:特に内側広筋、ハムストリグスの筋トレ)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
体重をかけない(OKC)トレーニングを中心に行います!
リハビリ中期(3or4週〜5週)
・体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!

あきと
体重かけた(CKC)トレーニングを開始します!
トレーニング後に膝が腫れていないか必ず確認しましょう!
リハビリ後期(5週〜8週)
・ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
半月板損傷をしてしまう人は、足首、体幹が不安定な人が多いです。
動作中に安定していることを確認していきましょう!
復帰期(7〜10週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
とにかく「腫れのチェック」が重要です!
少しでも腫れている感じがあれば、無理は禁物です。
数日で引く腫れも無理すると引くまでに長期間かかるようになり、結果的に復帰が遅れてしまいます...

 

手術療法のリハビリテーション

膝半月板損傷の手術療法は大きく分けて2種類あります。

切除術縫合術です。

2021年現在でも、最適な手術法に関して議論されています。

大きな流れでは、「半月板はできるだけ温存して、縫合できる場所は縫合しよう」となっています。

それぞれのメリット・デメリットなど、違いを紹介していきます。

 

膝半月板切除術
切除術のメリット
・早期復帰を目指せる(約2〜3ヶ月)
・術後の状態が安定している
切除術のデメリット
・長期的にみると、半月板損傷の再発や軟骨損傷のリスクが上がる

膝半月板切除術のリハビリテーションは、保存療法とほぼ同様の内容になります。

手術の傷口(術創部)が固まってお皿が動きにくくなるため、傷口のマッサージも術後早期から行っていきます。

 

あきと
傷といっても、内視鏡の穴だけなので、とても小さな傷になります!

 

膝半月板縫合術
縫合術のメリット
・長期的な予後が良い
縫合術のデメリット
・復帰まで時間がかかる(約6ヶ月)
・術後約1ヶ月は松葉杖で免荷

膝半月板縫合術のリハビリテーションは、保存療法を2〜3倍の期間をかけて行っていくイメージです。

特に、術後の1〜2ヶ月の担当医の先生から指示される「荷重制限」や「可動域制限」は必ず守るようにしましょう!

 

あきと
せっかく縫った半月板が、ずれてしまったらもったいないですよね...

 

そこを越えれば、後は腫れをチェックしながら徐々に徐々にリハビリ負荷を上げている段階になります!

半年でプレー復帰を目指していきましょう!

 

まとめ

ここまで、膝半月板損傷後の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

膝半月板損傷のリハビリテーションは、「腫れのコントロール」、「膝の捻れのコントロール」、「膝の筋力up」、「足首・体幹の安定」ができれば良い感じで進めると思います!

膝半月板損傷は選手生命に関わるケガですので、慌てずしっかり治してしていきましょう!

 

あきと
【お知らせ】
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
〈お問い合わせ〉からお気軽にご連絡ください!

 

スポンサーリンク
おすすめの記事