腓骨筋腱炎/脱臼とリハビリテーション

今回は腓骨筋腱炎/脱臼の対処法について書いていきます。

スキーやサッカー、バスケなどで生じる腓骨筋腱炎/脱臼ですが、

腓骨筋腱炎は慢性的な痛みが残りやすく、腓骨筋腱脱臼は手術療法も適応される厄介な怪我です。

今回はそんな腓骨筋腱炎/脱臼についてポイントを解説していきたいと思います!

 

スポンサーリンク

腓骨筋腱炎/脱臼とは?

腓骨筋腱炎は、外くるぶし後方〜足部外側を通る腓骨筋腱が炎症を起こしている状態をさします(図1左)。

腓骨筋腱脱臼は、その腓骨筋腱(特に長腓骨筋腱)が外くるぶしを乗り越えて脱臼してしまっている状態をさします(図1右)。
腓骨筋腱脱臼は足関節捻挫として見過ごされることもあり、腱の脱臼を繰り返す習慣性腓骨筋腱脱臼に移行することもばしばあります[]。
習慣性腓骨筋腱脱臼になると手術療法が適応されるため、腱の脱臼が習慣化する前に見つけて対処する必要があります。

 

腓骨筋腱炎 腓骨筋腱脱臼
図1:腓骨筋腱炎、腓骨筋腱脱臼のイメージ図。左が腓骨筋腱の炎症、右が長腓骨筋腱脱臼のイメージを説明しています。

 

あきと
足関節捻挫に合併して起こることがあるため、外果後方の痛みは要注意です!
病院に行って診てもらうのが良いと思います!

腓骨筋腱炎/脱臼を起こしやすいシーン

腓骨筋腱炎は足関節捻挫に合併して生じたり、外側荷重の状態でランニングやジャンプ方向転換動作を繰り返したりすることで生じます。

腓骨筋腱脱臼は、サッカーやスキーなどので受傷が多く、足関節背屈位で足部内転強制や下腿外旋強制によって生じます[]。

 

腓骨筋腱炎/脱臼のよくある症状

・外くるぶし後方が腫れる/痛い
・つま先立ちが痛い
・足関節背屈が痛い
・歩き、ランニング、ジャンプ、切り返し動作で痛い

つま先立ちなどで腓骨筋腱に負担をかけた時の外くるぶし後方の痛みが特徴的です。

 

病院で行う検査

腓骨筋腱炎では、徒手による圧痛の確認や腓骨筋収縮時の痛みを確認します。

エコー検査MRI検査を用いることで軟部組織の正確な診断が可能になります。

 

腓骨筋腱脱臼では、徒手による腱の脱臼によって腱の脱臼の有無を確認します。

エコー検査MRI検査を用いることで軟部組織の損傷の程度が確認でき、レントゲンやCT検査で外くるぶし剥離骨折の有無を確認することができます。

 

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(腓骨筋腱脱臼誘発テスト、収縮時痛など)などを行います。

             

腓骨筋腱炎/脱臼と診断されたら

腓骨筋腱炎は基本的には保存療法を行います。

腓骨筋腱脱臼は保存療法の再脱臼率が50~86%と言われているため、手術療法が推奨されることが多いです。

 

ここからリハビリの流れついて説明していきますね。

 

腓骨筋腱炎/脱臼のリハビリテーション

このページでは腓骨筋腱炎のリハビリの流れを記載してきます。

腓骨筋腱脱臼の手術後は、執刀医の先生の指示に従いリハビリを行いましょう。

腓骨筋腱炎も腓骨筋腱脱臼も基本的なリハビリの考え方は同じですので、期間は変われどリハビリの流れは同様と考えてもらってもOKです!

リハビリのポイントは、「腫れのコントロール」、「足首周りの動きの改善」、足首・体幹の安定性upです。

腓骨筋腱の負担を減らすためには、「足首・体幹の固定力up」が必須です!

※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう。

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「当日夜」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
炎症期(歩いて痛い、つま先立ちが痛い時期 ~1週間)
・RICE処置
・患部の周り・足首周囲のほぐし!(←腫れの改善・周囲の筋肉のマッサージ)
・荷重なしで足首・足趾の筋トレ!(←チューブエクササイズ、タオルギャザーなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
痛みがない運動は「腫れの管理ができていれば」積極的に開始していきます!
リハビリ前期(つま先立ち痛くない 1週間〜2週間)
・患部周囲・足首周囲のほぐし!(←継続)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
体重をかけても痛くなくなったら、荷重位でのトレーニングを開始します。
体重をかけたトレーニングでは、外側荷重にならないように要注意です!
リハビリ中期(ジャンプ、ケンケンが痛くない 2〜4週間)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①②を達成できるようにしましょう!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
ケンケンでの安定+外側荷重の改善ができれば、ジョギングで痛みや腫れがでてくるリスクは低いと思います!
リハビリ後期(ランニングしても痛くない・腫れない 3週〜6週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の腫れと圧痛は要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「腫れ」と、「ケンケンした時のぐらつき」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
腓骨筋腱炎/脱臼とインソール
インソールも非常に重要です!
特に腓骨筋腱に影響が大きい外側縦アーチにフィットする物を用いましょう。

まとめ

ここまで、腓骨筋腱炎/脱臼のリハビリテーションについて書いてきました。

腓骨筋腱炎/脱臼は痛みが残りやすく再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
【お知らせ】
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
〈お問い合わせ〉からお気軽にご連絡ください!

参考文献

[1]近藤英司 編集. 腓骨筋腱脱臼 -講座スポーツ整形外科3 下肢のスポーツ外傷・障害- 中山書店. 2021. 233-237

 

スポンサーリンク
おすすめの記事