今回は肩鎖関節捻挫/脱臼(dislocation)になってしまったときの対処法について書いていきます。
肩鎖関節捻挫/脱臼は痛みが強く、受傷後は肩を動かせないことも多いです。
スポーツに復帰するときは、肩鎖関節に負担をかけないようにするための体幹や肩甲骨の機能がとても大切になります。
適切な診断と治療方針の決定、リハビリが必要不可欠です。
今回はそんな肩鎖関節捻挫/脱臼について解説していきたいと思います!
目次
肩鎖関節捻挫/脱臼とは?
肩甲骨と鎖骨で構成されている肩鎖関節の靭帯が部分断裂(捻挫)・完全断裂(脱臼)してしまっている状態をさします(図1)。
肩鎖関節脱臼は肩甲帯周囲関節の全脱臼のうち約12%を占めているとされています。
タイプⅢ以降は手術適応になることが多いですが、スポーツによって判断は異なるため専門医の診察が必須です[2]。
肩鎖関節捻挫はとにかく痛みが強いようです。
肩鎖関節捻挫/脱臼が起こりやすいシーン
肩鎖関節捻挫/脱臼はコンタクトスポーツや転倒で多く発生します。
肩の外側からのコンタクトや、転倒して肩の外側から地面に落下することで受傷しやすいです。
肩鎖関節捻挫/脱臼のよくある症状
・痛みで肩を動かせない
・鎖骨が浮き上がっている
病院で行う検査
画像検査では、一般的にレントゲン検査、CT検査、MRI検査を行います。
レントゲン検査では鎖骨のズレや骨折の有無を、CT検査ではより詳細な鎖骨のズレや骨欠損を確認し、MRI検査では靱帯などの軟部組織の損傷状況を確認できます。
一般的な診察手順は、問診(痛みが出た状況の確認、既往歴の有無など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(ピアノキー症状)などを行います。
肩鎖関節捻挫/脱臼と診断されたら
保存療法と手術療法の選択肢があります。
タイプⅠ、Ⅱでは基本的には保存療法を目指し、三角巾で2~3週間の固定を行います。
タイプⅢで上肢をよく使うスポーツであれば手術療法が適応される可能性が高いです。
専門医の先生とよく相談して治療方針を決めましょう。
肩鎖関節捻挫/脱臼のリハビリテーション
保存療法のリハビリテーション
保存療法で復帰を目指す場合のリハビリの流れを説明していきます!
✅ 腫れ・痛みが悪化していないこと!
✅ 肩甲骨・肩のインナーの筋肉を鍛える
✅ 肩甲骨・体幹が安定している
まず、肩鎖関節捻挫後は基本的に2~3週間の固定を行います。
・アイシング(最初の2-3日)
・上腕、首の筋肉のマッサージ
安静は靭帯が修復するために必要な期間です。
固定していると周囲の筋肉が硬くなってくるため、筋肉のマッサージをしてあげましょう。
★肩のインナーマッスルを鍛える(←腱板筋のトレーニング)
・肩甲骨周囲の筋肉を鍛える!(←肩甲骨の筋トレ)
・肩の可動域を広げた状態で腱板のトレーニングを行う!
・腕を振ってランニングをスタートする
・リアクション、対人動作の練習をする!(リアクションドリル、対人練習など)
・不安なく受け身ができる
まとめ
ここまで、肩鎖関節捻挫/脱臼の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
肩鎖関節捻挫/脱臼は治療方針の決定、リハビリの進め方がとても大切なケガです。
知識を身につけ、専門医の先生としっかり相談しながら復帰を目指していきましょう!
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参考文献
[1]Rockwood CA Jr, et al. (1996) Injuries to the Acromioclavicular Joint. : Fractures in adults. Lippincott Raven, Philadelphia, pp 1341–1413.
[2]高瀬勝己:肩鎖関節脱臼 -講座スポーツ整形外科2 上肢のスポーツ外傷・障害- 池上博泰 編集. 中山書店. 2022. 44-50