ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とリハビリテーション

今回はゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)Golfer’s elbow (medial epicondylitis )になってしまったときの対処法について書いていきます。

ゴルフ肘は、ゴルフなどの上肢で道具を操作するスポーツでよく起こるケガです。

痛みを感じる位置が肘内側側副靱帯損傷や尺骨神経由来の痛みの部位と近いため、しっかりと鑑別してリハビリを進めていく必要があります。

今回はそんなゴルフ肘について解説していきたいと思います!

 

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ゴルフ肘とは?

ゴルフ肘は上腕骨内側上顆炎と呼ばれ、肘の内側の骨に付着している筋肉の腱の炎症やその付着部の炎症をさします(図1)。

上腕骨内側上顆には手首を曲げる筋肉(手根屈筋群)や前腕を回す筋肉(回内筋)など多くの筋肉が付着しているため、炎症が起こりやすくなります。

ゴルフ肘
図1:ゴルフ肘のイメージ図。上腕骨内側上顆に付着する

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)より頻度は低いですが、上顆炎の10~20%を占め、利き手に多く発生します[]。

ゴルフ肘を起こしやすいシーン

その名の通り、ゴルフ選手や野球の投手、やり投げ選手など上肢で道具を操作するスポーツで多く発生します。

一方で、スポーツ以外の建設業の方などにも多く起こります[]。

ゴルフ肘のよくある症状

・肘の内側の出っ張り部分が痛い/腫れている(図2)
・手首に力を入れると痛い
・重いものを持つと痛い
・肘を伸ばしきると痛い(炎症が重度のとき)
物を持ったときなど、手首に力が加わったときの肘内側の痛みが特徴的です。

あきと
炎症がひどくなると肘を伸ばすだけでも痛みを感じます。
ゴルフ肘 上腕骨内側上顆炎
図2:ゴルフ肘の痛みが出る部位のイメージ図。肘内側の出っ張り部分(上腕骨内側上顆)に痛みが生じます。

病院で行う検査

MRI検査エコー検査によって、上腕骨内側上顆の炎症の有無を確認します。 

また、レントゲン検査によって肘関節の変形性や石灰化などの有無を確認します。 

一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(伸張時痛、収縮時痛の確認)などを行います。

             

ゴルフ肘と診断されたら

基本的には保存療法を行います。

スポーツ復帰する時に「肘内側の筋肉の硬さが残っていないか」、「肘の曲げ伸ばしは正常か」、「肘に負担がかかる動作になっていないか」を確認して復帰していきます。

以下に、保存療法のリハビリテーションの流れを書いていきます。

 

ゴルフ肘のリハビリテーション

基本的には保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します!

中等度の炎症をイメージしてリハビリの流れを記載しています。

期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!

 

リハビリを進めるためのチェックポイント!
✅ 腫れ・痛みが悪化していないこと!
リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
✅ 肘の曲げ伸ばしがスムーズで左右差がない
✅ 肘の内側の筋肉が硬くない
✅ 肩甲骨・体幹が安定している
✅ 痛みの原因となった動作が安定しいて良いフォームである
炎症期(受傷後3日ほど)
RICE処置
・前腕内側の筋肉のマッサージ
・肩甲骨周囲のエクササイズ

あきと
RICE処置はとても大切です!
肘の内側には尺骨神経が走行していますので、アイシング・圧迫中に痺れが出たらすぐに中止しましょう!
リハビリ前期(3日〜2週)
・肘の屈曲・伸展可動域を改善する!(←周囲の筋肉のマッサージ)
・肩甲骨・体幹の筋トレ!(←体幹と肩甲骨周囲筋の筋トレ)

あきと
肘の屈曲伸展可動域の左右差を無くすことが大切です!
リハビリ中期(2週〜4週)
・肘内側の筋トレ!(←手首の掌屈、前腕の回内エクササイズ)
・肩甲骨・体幹の筋トレレベルアップ!(←体幹と肩甲骨周囲筋の筋トレ)
・シャドーで競技フォームのチェック!

あきと
★肘曲げ伸ばしOK
★肘に力を入れても痛くない
そうなったらフォームチェックを開始しましょう!
リハビリ後期(3週〜6週)
・体重をかけたエクササイズをする!(←四つ這いや腕立て伏せなど)
・段階的に痛めた動作をスタート!(←投球・投擲・スイング練習など)

あきと
肘に負担がかかっていないかフォームは要チェックです!
復帰期(4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
練習後にアイシング肘の曲げ伸ばしチェックを必ず行いましょう!
肘が伸びにくい場合は、筋肉をマッサージしてしっかり伸ばしてから次の練習に取り組みましょう!

まとめ

ここまで、ゴルフ肘の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

ゴルフ肘は痛みが残りやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1]Shiri R, et al. : Prevalence and determinants of lateral and medial epicondylitis: a population study. Am J Epidemiol. 2006 Dec 1;164(11):1065-74.  

 

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