
膝前十字靭帯(以下、ACL)損傷は、最もスポーツ選手を困らせる怪我と言われています。
スポーツ復帰には手術が必要とされ、早くても手術から6ヶ月かかります。
この記事ではACL損傷してしまった方、ご家族、コーチの方へ、ACL損傷後の対応やリハビリについて書いていきます。
目次
膝ACL損傷とは?
膝ACL損傷とは、膝の中にある大腿骨と脛骨をつないでいる前十字靭帯(ACL)が損傷(部分断裂、完全断裂など)している状態をさします(図1)。
このACLは膝がズレることを防ぐ靭帯です。
そのため、断裂すると膝がズレやすくなり、膝がズレることで関節のクッションの役割を果たしている半月板や関節軟骨の損傷を引き起こします。
また、関節の中で独立している靭帯のため、断裂すると自然治癒しにくいとも言われています。

膝ACL損傷を起こしやすいシーン
ACL損傷は「接触型損傷」と「非接触型損傷」に分類することができます。
両者ともに膝が「外反する(内側に入る)」ことでACL損傷してしまうことが多いです。
非接触型では、方向転換動作時やジャンプ着地時に受傷することが多く、「膝が内に入った」「バキっと音がした」などと訴えることが多いです。
「膝が内に入って膝を痛めた」場合はACL損傷の可能性があるため、必ず病院を受診しましょう。
膝ACL損傷後のよくある症状 膝が腫れたら必ずACL?
よくある症状は

・曲げ伸ばしがしにくい
・膝に力が入らない

・膝が曲げ伸ばしできない
病院で行う検査
膝ACL損傷の確定診断にはMRI検査が必要です。

問診・触診・徒手検査(Lachman test、Pivot shift test など)を行い、必要に応じてMRI検査を行います。

膝ACL損傷と診断されたら ACL損傷は手術しないと治らない?
治療方法を選ぶことになります。
手術療法と保存療法です。
「スポーツ復帰を目指すときは、ほとんど手術療法となります。」
それぞれの考え方を説明していきますね。
膝ACL損傷の手術療法
膝ACL再建術が行われます。
一般的に膝の前の膝蓋靭帯を採取してACL再建を行うBTB法(Bone-Tendon-Bone法)と、膝の内裏の半腱様筋(+薄筋)を採取して行うST(G)法(Semitendinosus(Gracilis)法)のどちらかが行われます。
どちらの方法でも術後のリハビリ内容に多少差がありますが、復帰時期はおおよそ同じです。
手術療法のリハビリの進め方 いつから走れる?
・太腿(内側広筋)の力を入れる!
★具体的なリハビリメニューはこちら↓
・体重をかけるトレーニングを開始する(スクワットなど)
・加速走でランニングスピードアップ!
急な加速やストップ動作にならないから安全ですね。
・素早い横方向へのステップ動作、ジャンプ動作を開始!
・筋力90%以上!
急な加速やストップ動作にならないから安全ですね。

だいたい5人に1人(20%)の選手が再受傷(反対側損傷含む)をしてしまうと言われています。
そのため、術後2年までは、再発予防の筋トレ、動作練習をかならず続けましょう!!
膝ACL損傷の保存療法
正直、あまりオススメしない方針ですが、状況によって選択することがあります。

日常生活だけでも膝くずれや半月板損傷が起こることがあるため、「昔ACL損傷したけど放っておいた人」が10年、20年経ってから手術するケースもあります。
半月板損傷がひどくなる前に手術した方が良いかもしれませんね。
保存療法のリハビリテーション
保存療法でも大きなリハビリの流れは同じです。
- 腫れを無くす!(←アイシングの徹底)
- 可動域を改善する!(←膝の曲げ伸ばし、周囲の筋肉のマッサージ)
- 太ももの前と後の筋肉を鍛える!(←大腿四頭筋:特に内側広筋、ハムストリングスの筋トレ)
- お尻の筋肉を鍛える!(←外旋筋、小殿筋、中殿筋、大殿筋の筋トレ)
- 体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
- ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
- リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
もちろん保存療法も病院の先生と相談しながら復帰時期を上手くコントロールしましょうね。
まとめ
ここまで、膝ACL損傷後の治療方針やリハビリテーションについて書いてきました。
最近では、信頼できるスポーツドクターやスポーツに携わる理学療法士(PT)、アスレティックトレーナーさんがたくさんいます。
ACL損傷をしてしまっても、専門家の先生の病院を受診することで、少しでも良い状態で復帰できることを願っています。
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
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