今回は、第2〜4中足骨疲労骨折のリハビリテーションについて具体的に解説していきたいと思います!
リハビリのポイントは、「骨の癒合」、「アーチ機能(特に横アーチ)の改善」、「足首・足部の固定力up」、「中足骨に負担のかかりにくい身体へ」です。
それぞれについて図をつけて具体的に説明していきます!
荷重開始時期や復帰時期などの具体的なスケジュールは専門の先生に確認しましょう。
この記事では各時期に行う具体的なリハビリメニューについて説明していきます!
大まかなリハビリの流れについては↓の記事を参考にしてください。
中足骨の癒合を目指す
骨の治療に有効なことは主に3つあります。
「ビタミンD」、「超音波骨折治療法」、「衝撃波治療」です。
ビタミンD
ビタミンDが不足すると疲労骨折になりやすいと言われています[1]
ビタミンDのを補給するためには、ずばり「日光浴」と「魚・きのこを食べる」ことです!
身近な食材では、「しらす干し」、「いくら」、「べにざけ」、「まいわし」、「そうだがつお」、「さんま」、「干し椎茸」に多いそうです!
超音波骨折治療法(低出力超音波パルス:LIPUS:Low Intensity Pulsed Ultrasound)
骨折治療の王道治療機器です。
研究でも骨折の癒合を促進する中等度〜高度なエビデンスが報告されています[2]。
※普通の超音波治療機器とは別で、特別な出力設定になっていますので、骨折治療専用の超音波機器を使って下さい。
体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy :ESWT)
近年、超音波骨折治療器よりも注目を集め始めた治療です。
偽関節という骨折が治らなかった症例でも体外衝撃波治療で治癒する例が報告されています「3」。
「収束型」と「拡散型」の衝撃波があり、収束型が本命ですが、拡散型も効果があるという報告も出てきています。
収束型は機器が高額のため台数が少ないです。治療を希望される場合は調べてから病院に行きましょう!
アーチ機能の改善(アーチの形状を整える)
第2〜4中足骨には、歩くとき、走るときなどに地面を蹴る力が大きく加わります。
そのため、蹴り出しのときは中足骨の中でも「一番太い第一中足骨にも荷重を乗せる」こと、どこかの中足骨1本ではなく「アーチ全体が安定して蹴り出せるように」ということがポイントになってきます(図1)。
アーチの形状を整えるところから説明していきますね。
足の裏のほぐし
- 足の裏外側をボールなどで圧迫します
赤い範囲です! - 足の指をグーパーと10回ほど動かします
- 5〜10分行います
※痛みの出る部分には当てないように注意しましょう!
※下の図のように、青竹踏みでもOKです!
アーチは3Dでテントのような形になっています。
内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチすべてのアーチを底から支えているのは立方骨(赤い部分)なので、立方骨を持ち上げるように足の裏をほぐしていきます!
アーチの内側ほぐし
- 足の内側の筋肉の部分を圧迫します
黄色い範囲です! - 足の親指をゆっくり曲げ伸ばしします
- 5〜10分行います
※痛みの出る部分には当てないように注意しましょう!
外くるぶし後方(長母趾屈筋)のほぐし
- 外くるぶしの後方(アキレス腱との間)を圧迫します
黄色いです! - 足首を10回ほど動かします
- 外くるぶしに沿って少し上の範囲もほぐします
- 5〜10分行います
この部分が硬くなると、つま先が外向きになって蹴り出すことが多くなり、結果としてアーチが安定しなくなってしまいます。
足首・足部の固定力p
アーチの安定(ショートフットエクササイズ)
- イスに座って地面に足をまっすぐつけます
- 足の指はリラックスしましょう
- 図の黄色の踵と母趾球を近づけるようにがんばります
- 結果的にアーチ(足の甲)が持ち上がります
- 5秒キープ ✕ 10回 ✕ 2〜3セット行いましょう
※うまくできると足の裏の筋肉を使っている感覚が出てきます
アーチの安定のためには欠かせないエクササイズです!
足首の安定性(座位カーフレイズ)
- 太もも、スネ、足の第2趾のラインを真っ直ぐにして座ります
※絶対につま先が外に向かないようにしましょう - 足の趾はリラックスして、母趾球(親指の付け根)に体重をかけます
- 踵を最大限上げます
- ゆっくり3秒キープ×10×3セット行います
担当の先生の許可が出てから行いましょう!
足首の安定性(立位カーフレイズ)
- 肩幅、つま先まっすぐ前、膝を伸ばして立ちます
- 頭のてっぺんが天井から糸でつるされているイメージです
- お腹を凹ませします
- 足の趾はリラックスして、母趾球(親指の付け根)に体重をかけます
- 踵を最大限上げます
- ゆっくり3秒キープ×10×3セット行います
中足骨のみに負担をかけにくい身体へ
走るときのポイントについて
第2〜4中足骨疲労骨折はランナーに多く、走行中に負担がかかります。
走るフォームも中足骨への負担に影響しますので、走るときのポイントを下の図で簡単に説明しますね(図2)。
体幹の安定性が足部の負担にも影響しますので、足のリハビリだけでなく体幹の安定性にも着目してみましょう。
ここからは、体幹の安定性を改善させるメニューを紹介していきます!
ドローイン(腹圧) Level 1
- 仰向けで寝て膝を90°曲げます
- ゆっくり息を吐きます
- 息を吐くのと同時にお腹をへこまします
- 一緒にお尻の穴をしめます
- 息を吐ききったらリラックスして息を吸い、1〜4を繰り返します
- ゆっくり20回行います
※ここではとにかく「腹直筋<<腹横筋・腹斜筋」を意識しましょう!
今まで腹筋を頑張ってきた腹直筋自慢の選手ほど腹横筋・腹斜筋の収縮が入らないことがありますので根気よく続けましょう
コツをつかんだらすぐにできるようになると思います!
体幹を安定させながら臀筋を使う:バードドッグ
- よつばいの姿勢からスタートします
- 肩の真下に手、股関節の真下に膝がくるようにします
- 息を吐きながらお腹を凹ませ、お腹は凹ませた状態でキープします
その後、呼吸は普通にしてOKです - 手と膝で地面を「押し続けます」
- 対角線にあるの手と足を上げます
- 上げた手と足は前後から引っ張られているように伸ばします
- ゆっくり3秒キープ✕10✕2〜3セット
※ついている足のつま先を浮かすとより安定するのが難しくなります
シンプルな体幹の筋トレ:プランク(膝つき)
- 肘、膝、つま先で体を支えます
- 背骨はまっすぐにして、骨盤が下がらないようにしましょう
- 息を吐きながらお腹を凹ませ、お腹は凹ませた状態でキープします
その後、呼吸は普通にしてOKです - 手と膝で地面を「押し続けます」
- 10秒キープ✕10回✕1〜3セット行いましょう
※腰が反らない(骨盤が下がらない)ように注意して行いましょう!
まとめ
今回は、第2〜4中足骨疲労骨折の具体的なリハビリメニューを説明させていただきました。
第2〜4中足骨疲労骨折は再発しやすいケガですので、中足骨に負担をかけすぎない身体にしていきましょう!
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参考文献
[3]Alkhawashki H.M. : Shock wave therapy of fracture nonunion. Injury 46(11): 2248-52. 2015