今回は胸郭出口症候群(TOS: thoracic outlet syndrome)になってしまったときの対処法について書いていきます。
胸郭出口症候群は上肢の痺れ・痛みが主な症状である疾患で、一般の方でも悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
症状が軽度の場合やストレッチや姿勢を意識することで寛解する場合が多いですが、症状が持続してしまっている方などは根本的な姿勢や呼吸法を見直さなければならないこともあります。
今回はそんな胸郭出口症候群について解説していきたいと思います!
目次
胸郭出口症候群とは?
胸郭出口症候群は、腕神経叢という神経の束が慢性的に圧迫されて生じる症状のことをさします(図1)。
腕や肩の痛み、上肢の筋力低下、上肢の感覚障害などさまざまな症状が引き起こされます。
20 歳から 40 歳までの人に発生し、その 70% は女性と言われています[1]。
胸郭出口症候群は、腕神経叢が斜角筋三角(前斜角筋と中斜角筋の間)、や第一肋骨と鎖骨の間、小胸筋と肋骨の間で圧迫や牽引ストレスを受けることで生じます(図1)[3]。
腕神経叢は第5頚神経根(C5)から第1胸神経根(T1)の5つの神経根で構成されています。
胸郭出口症候群が起こりやすい原因
姿勢が悪く、なで肩などの選手が上肢の動作を繰り返すことで頚部や胸部の筋肉が硬くなり症状が生じます。
スポーツでは、オーバーヘッドスポーツやウエイトトレーニングを行っている選手に多く、一般の方でもリュックサックを背負うことで症状が出ることもあります。
また、頚部や胸部の外傷によって引き起こされることや、先天的な解剖学的異常が背景にあることもあります。
姿勢が悪いことが最大の原因かもしれません。
胸郭出口症候群のよくある症状
・腕を上げると症状が増悪する
上肢の痺れや痛みが主な症状です。
つり革を掴むなど腕を挙げた姿勢を継続していると症状が増悪することが多いです。
病院で行う検査
レントゲンやCTで骨の異常などを確認します。
また、エコーで鎖骨下動脈の血流を調べることや、血管造影検査を行うこともあります。
基本的には、問診(痛みがでる状況の確認など)、触診(神経圧迫部位のチェック)、スペシャルテスト(Wrightテスト、Adsonテスト、Edenテストなど)を行います。
胸郭出口症候群と診断されたら
基本的には保存療法が適応されますが、解剖学的な異常などによって難渋する場合は手術療法が選択される場合もあります。
スポーツ復帰する時は、「良い姿勢で神経に負担がかからないこと」、「頚部や胸部に過度な負担がかからない動作・機能の習得」が必要不可欠です。
神経症状の管理なども非常に重要になりますので、しっかりと病院でサポートを受けながら段階的にリハビリを行いましょう!
胸郭出口症候群のリハビリテーション
保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します!
期間は目安ですので、専門医の先生の指示に従って進めましょう!
✅ 痺れ・痛みが悪化していないこと!
✅ 姿勢が良く、肩甲骨・体幹が安定している
・脊柱の歪み、姿勢の改善
・体幹・肩甲骨の筋肉のマイルドな筋トレ
・横隔膜を使った呼吸の練習
日常生活で症状が増悪するシーンを調べ、なるべくそのシーンを避けられるようにしましょう!
・上半身のトレーニングを開始
・徐々にスポーツ動作を開始
姿勢と筋肉のハリは要チェックです!
・スポーツ動作の姿勢チェック
・体幹トレーニングは継続!
そうなると動きが硬くなり、姿勢が悪くなりやすいので注意が必要です!
まとめ
ここまで、胸郭出口症候群の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
胸郭出口症候群は難渋する場合や再発する場合も多いです。
しっかりと治して再発しない身体で復帰しましょう!
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参考文献
[1]K A Illig, et al. :The Incidence of Thoracic Outlet Syndrome. Ann Vasc Surg. 2021 Jan:70:263-272.