今回はシンスプリント(shin splints, MTSS : Medial Tibial Stress Syndrome )の対処法について書いていきます。
シンスプリントは多くのスポーツ選手が経験する、非常に再発しやすいケガです。
練習を休むことで痛みが良くなったとしても、リハビリをしっかりと行わないとプレーを再開してからまた痛みがぶり返してしまいます。
今回はそんなシンスプリントについてリハビリのポイントを解説していきたいと思います!
目次
シンスプリントとは?
シンスプリントとは、脛骨(スネ)の内側に沿った骨〜後方の筋肉部分の痛みのことをさします。
脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、脛骨の内側に位置する骨膜が筋肉(ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋など)に引っ張られることで炎症を起こして生じると言われていました[1, 2](図1)。
しかし、2009年にStickleyらは、シンスプリント好発部位には筋肉が付着せず、下腿深部筋膜が広範囲に付着してると報告し[3]、それを指示する研究も報告されています[4](図2)。
シンスプリントの原因は、「筋肉」や「筋膜」、「骨膜」、「後脛骨筋と長趾屈筋のクロスポイント」など諸説言われていますが、筋肉や筋膜が硬くなることで骨膜が炎症を起こしている状態として理解するのが分かりやすいと思います。
シンスプリントを起こしやすいシーン
ランニングやジャンプを繰り返す、陸上競技やサッカー、バスケットボールなどで発生すると言われています。
また、女性、体重が重いこと、舟状骨の低下(内側縦アーチがつぶれやすい)がシンスプリントの要因になるとメタ・アナリシスを行った研究で報告されています[5]。
シンスプリントのよくある症状
・ジャンプやランニングなどの衝撃が痛い
脛骨内側縁の押したときの痛みが一番特徴的です。
症状が悪化してくると、ランニングやジャンプで痛みが生じます。
病院で行う検査
まずは、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。
レントゲン検査では初期の疲労骨折が評価できないこともあるため、疲労骨折との鑑別が必要な場合はMRI検査も行います(図4)。
一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(筋肉の伸長時・収縮時痛、荷重時の痛みの確認)などを行います。
シンスプリントと診断されたら
保存療法で復帰を目指します。
少し休むだけだと、運動を再開したときに痛みが再発することが多いです。
シンスプリントになった原因を解決するためにリハビリテーションをしっかり行いましょう。
シンスプリントになったとき、プレーを休止するか、痛みと付き合いながらプレーするかは非常に難しい問題です。
患部のケアやリハビリを行っても、痛みが増悪してしまうようであればプレーを休止するのが賢明かもしれません。
ここからリハビリについて説明していきますね。
シンスプリントのリハビリテーション
リハビリのポイントは、「炎症のコントロール」「足首・足部の動きの改善」、「足首・足部の安定性の改善」、「足関節の不安定性に影響する体幹の安定性の改善」です!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
・荷重無しで足部周囲のの筋トレ!(←座ってカーフレイズ、足趾のエクササイズなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
まとめ
ここまで、シンスプリントの方針やリハビリテーションについて書いてきました。
シンスプリントは非常に再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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参考文献
[1]Beck B R, et al. : Medial tibial stress syndrome. The location of muscles in the leg in relation to symptoms. J Bone Joint Surg Am. 1994 Jul;76(7):1057-61.