今回は弾発股(Snapping Hip Syndrome )の対処法について書いていきます。
弾発股はダンサーに起こりやすい股関節周囲の筋肉や腱が引っかかることによって「ポキッ」や「ボリッ」などのスナップ音が生じるケガです。
痛みが出ない場合もあるため、放っておいて引っかかりが強くなってきてしまうことが多くあります。
今回はそんな弾発股についてリハビリのポイントを解説していきたいと思います!
弾発股とは?
弾発股(だんぱつこ)とは、股関節周囲で腸腰筋腱や腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)が骨などに引っかかり、「ポキッ」や「ボリッ」などのスナップ音が生じてしまう状態をさします。
腸腰筋由来の場合は、股関節屈曲・外転・外旋した状態の股関節を伸展・内転・内旋方向へ運動させることで腸腰筋が腸恥隆起に引っかかり再現できることが多いです。
腸脛靭帯由来の場合は、股関節を伸展位から屈曲していくときに大転子(骨の出っ張り)と引っかかることで発生します[1]。
筋肉や腱の柔軟性不足や股関節の過使用が原因で起こることが多く、場合によっては炎症を伴い痛みが生じる場合もあります。
ここまで関節の外の問題を説明しましたが、股関節の関節唇や軟骨、関節遊離体などの関節内病変が問題となることもあります。
その場合はクリックやひっかかり感を訴えることが多いようです[2]。
弾発股になりやすい要因
弾発股になりやすい要因として、股関節の過度な使用、柔軟性の不足、筋力のアンバランスがあげられます。
特に、体操やダンスなど、股関節を大きく動かす動作を繰り返すスポーツで発生が多く[3]、一流のバレエダンサーの91%がSnapping Hip Syndromeの何らかの所見を訴えていたと報告されています[4]。
また、サッカーや陸上競技などの股関節を良く動かすスポーツ選手にも起こりやすいと言われています。
弾発股のよくある症状
・股関節伸展→屈曲運動で弾発現象が生じる
上記の運動中に痛みや脱臼感を伴う場合もある。
弾発股の主な症状は、「ポキッ」「ボリッ」「ボンッ」などのスナップ音を伴った弾発現象です。
痛みがある場合もない場合もあります。
病院で行う検査
基本的には診察で診断される場合が多いです。
骨や関節内の異常をチェックするためにために、X線検査やCT検査、MRI検査を行うこともあります。
また、筋・腱が実際に引っかかる様子を確認するためにはエコー検査も有用と言われています。
一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(弾発現象のある場所のチェック)、スペシャルテスト(弾発現象の再現、筋肉の緊張確認)などを行います。
弾発股と診断されたら
関節の外の筋肉由来の場合は保存療法で復帰を目指します。
一方で、関節内由来の場合は手術療法が適応となる場合もあります。
しっかりと専門のスポーツドクターに相談しながら治療方針を決めていきましょう。
ここからは、関節外由来の弾発股のリハビリ(保存療法)について説明していきますね。
弾発股のリハビリテーション
保存療法でのリハビリのポイントを解説していきます!
リハビリのポイントは、「原因となった筋肉の柔軟性の改善」、「股関節、骨盤の歪み・安定性の改善」、「股関節を安定して使えるように」です!
・痛みが悪化していないこと!
・その他痛みの出ない患部外トレーニング
・体幹の筋トレ!
・臀筋・内転筋・腸腰筋などの筋トレ!
・弾発現象が出なければジョギングをスタート!
・少しずつ競技動作をスタートしてみる!
・各種スポーツ動作を開始する!(キック動作などは要注意!)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
骨盤を安定させる腹筋のインナーマッスルの収縮はとても大切です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
まとめ
弾発股は、ダンサーなどに多く見られるケガで、活動中の股関節の過使用が主な原因となります。
正しい身体の使い方を覚えて、股関節の一部に負担がかかりすぎないように取り組んでいきましょう!
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
〈お問い合わせ〉からお気軽にご連絡ください!
参考文献
[2]玉置康晃:弾発股 -講座スポーツ整形外科4 体幹のスポーツ外傷・障害- 西良浩一 編集. 中山書店. 2022. 212-216
[4]Lewis CL. Extra-articular snapping hip: A literature review. Sports Health. 2010;2(3):186-190.