今回は、肩インピンジメント症候群になってしまったときの対処法について書いていきます。
肩インピンジメント症候群は、肩を動かした時に特定の角度で痛みが出てくるケガです。
一般生活でも起こりますし、水泳や、投球動作の繰り返しでも多く発生します。
初期は周囲の組織の軽度の炎症ですが、放っておくと筋肉の損傷を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
今回はそんな肩インピンジメント症候群について解説していきたいと思います!
目次
肩インピンジメント症候群とは?
肩インピンジメント症候群は、肩の関節を構成している肩甲骨と上腕骨が衝突することによって、その間にある組織が挟みこまれ痛みや炎症を起こしている状態をさします。
「インピンジメント(impingement)」は衝突という意味であり、肩インピンジメント症候群は衝突する場所によって2種類に分類できます。
- 肩峰下インピンジメント(図1):肩の上側にある肩峰と上腕骨の上腕骨頭が衝突することで生じる症状をさします。
- インターナルインピンジメント(図2、3):肩の後ろ側にある肩甲骨関節窩の後上縁と上腕骨が衝突することで生じる症状をさします。繰り返すことで腱板という筋肉(インナーマッスル)が挟まれて損傷が生じると言われています[1]。
初期の肩インピンジメント症候群は、筋肉などの組織が損傷している病態ではなく、組織が挟まって炎症を起こしている状態です。
そのため、休むことで炎症は落ちつきますが、「挟まってしまうという根本原因」リハビリで解決する必要があります。
肩インピンジメント症候群が起こりやすいシーン
肩を大きく動かす体操競技、水泳や、投球動作の繰り返しなどで多く起こります。
前述した「肩峰下インピンジメント」は、肩を上げた状態での運動の繰り返しで多く起こり、
「インターナルインピンジメント」は、投球時に腕を外に大きく開いた運動の繰り返しで多く起こります(図3)[2]。
肩インピンジメント症候群のよくある症状
肩を上げきった時の引っかかる/つまる感じ、また大きく開いた時の引っかかる/つまる感じなどの症状が現れます。
また、バンザイした手を下ろす過程で、特定の角度での痛みや引っかかり感訴えることも多くあります。
病院で行う検査
基本的には、診察で肩インピンジメント症候群と診断されます。
一方で、肩の筋肉の損傷である、腱板損傷などを否定するためにMRI検査を行うこともあります。
また、エコーで患部の炎症を確認することもできます。
画像検査の他には、問診(痛みが出た状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(Neerテスト、Hawkinsテスト、HERTテスト)などを行います。
肩インピンジメント症候群と診断されたら
基本的には保存療法でリハビリを行ないます。
インピンジメント(衝突)起こしている原因となっている肩の悪い動きをリハビリで改善することが大切です。
肩インピンジメント症候群のリハビリテーション
基本的にはこの保存療法でリハビリを行い、症状の改善を目指します!
リハビリのポイント!
✅ 患部の炎症を抑える
✅ 肩の関節の位置を良くする
✅ 肩のインナーマッスルを鍛える(肩を求心位で使えるように)
✅ 姿勢を良くする
・背中・肩甲骨の柔軟性改善!(←背中にボールを入れてストレッチ)
・肩周囲の筋肉をマッサージする!(←ボールなどで、肩甲骨周囲・肩周囲のマッサージ)
・姿勢を良くする練習!(←胸を張る練習、普段も姿勢を良く)
並行して肩の位置を良くするメニューも行っていきましょう!
・痛みのない範囲で肩のストレッチ!(←硬くなった肩のストレッチ)
・肩のインナーマッスルの筋トレ!(←チューブなどで筋肉を鍛える)
・普段から姿勢を良くする!
フォームがとても難しいため、リハビリの先生にチェックしてもらいましょう!
・手を床についたトレーニングを開始!(四つ這い、腕立てなど)
・スポーツ動作のフォームをチェックする!
・いついかなる時も、姿勢を良くする!
・徐々にスポーツ動作を開始!
・姿勢を良くする!
練習後は必ず痛みのチェックを行いましょう!
まとめ
ここまで、肩インピンジメント症候群の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
肩インピンジメント症候群はしっかりリハビリをしないと痛みがぶり返しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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参考文献
[2]Braun et al. Shoulder injuries in the throwing athlete. J Bone Joint Surg Am. 2009 Apr;91(4):966-78.