シーバー病とリハビリテーション

今回はシーバー病(Sever disease、踵骨骨端炎)の対処法について書いていきます。

シーバー病は成長期の踵の痛みで、ひどくなると歩くときに足を引きずってしまうこともあります。

後遺症などはあまり起こりませんが、痛みがなかなか良くならない場合もあるため、しっかりと管理する必要があります。

今回はそんなシーバー病についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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シーバー病とは?

シーバー病とは、踵骨の骨端線(成長軟骨)部分の炎症をさします(図1)。

Severが1912年に報告したためシーバー病と呼びますが、日本語では踵骨骨端炎といいます。

踵骨にはアキレス腱が付着するため、引っ張られて炎症を起こしやすいんです。

 

シーバー病
図1:シーバー病のイメージ図。アキレス腱が踵骨骨端線周囲に付着するため、炎症を起こしやすいです。

 

踵骨の二次骨化中心(骨が成長するための核の部分)は7~9歳のころに出現し、15~17歳で大人の骨として完成します[](図2)。

そのため、シーバー病は骨が不安定な10-12歳ころの男性に多く起こります。女性は8-10歳ころに起こりやすいと言われています[]。

シーバー病のレントゲン画像
図2:踵骨骨端線のレントゲン画像。黄色矢印の部分が骨端線です。この骨端線は正常な成長過程で見られるので、骨が割れているわけではありません。 ※シーバー病特有の所見ではありません。

 

成長期の骨端症はオスグット病(骨の変形が残る場合がある)やフライバーグ病(骨の無腐性壊死)などがありますが、シーバー病はそのようなレントゲン上の異常所見も見られないという特徴があります[]。

つまり、後遺症は残りにくい成長期のケガとしてとらえられますね。

 

シーバー病のレントゲン所見は、①骨硬化(白くなっている)白矢印、②骨の断片化(割れている)黄色矢印と言われていました。


しかし、シーバー病の選手30人と、同じ年齢の選手15人の症状とレントゲン画像を比較した研究では、シーバー病でない選手にもこの所見があることを報告しました。
骨硬化像は無症状の15人全員に、断片化は15人中8人に認められたんです。

Perhamre et al., Sever\'s injury: a clinical diagnosis. J Am Podiatr Med Assoc . 2013 Sep-Oct;103(5):361-8[3]

 

あきと
レントゲンだけでは、シーバー病特有の所見を見つけるのは難しいんですね

シーバー病を起こしやすいシーン

10-12歳前後の男性、8-10歳前後の女性に多く発生します。

サッカーやバスケットボール、野球など、走る・ジャンプをすることが多い選手に起こりやすいです。

 

シーバー病のよくある症状

・踵を押すと痛い(図3)
・つま先立ちをすると踵が痛い(図3)
・アキレス腱のストレッチをすると踵が痛い
・ジャンプをすると痛い
・走ると痛い

シーバー病の選手は、片足でつま先立ちをしたときに100%痛みが生じると報告されています[]!

 

シーバー病 痛みの誘発
図3:シーバー病の痛みのイメージ。つま先立ちで踵に出る痛みが特徴的です。

 

病院で行う検査

基本的にレントゲン検査を行ない、骨端線の状況などを確認します。

エコー検査を行うと、炎症起こしている部分を確認することができます。

 

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(片脚カーフレイズ、スクイーズテスト(図4))などを行います。

スクイーズテスト squeeze test
図4:スクイーズテスト(文献3より引用

 

             

シーバー病と診断されたら

保存療法でリハビリを行っていきます。

シーバー病は過度な運動負荷によっても発生するため、炎症が強い場合は運動を中止して痛みを引かせる必要があります。

また、踵に負担がかかりすぎてしまった原因を解決して復帰を目指します。

 

ここからはリハビリについて説明していきますね。

シーバー病のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「痛みのコントロール」、「足首の柔軟性改善」、足首・周囲の固定力up」です!

シーバー病のメインの問題は痛みです。

運動量のコントロールと炎症が強い場合はアイシングを行って、まずは痛みを減らしましょう!

 

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
具体的なリハビリメニューは↓の記事をご覧ください。
※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!
炎症期(歩いて痛い、つま先立ちが痛い時期 ~1-2週間)
・RICE処置
・ふくらはぎ・足の裏の筋肉のほぐし!(←踵に付着する筋肉を柔らかくして踵の負担を減らします)
・荷重なしで足首周囲の筋トレ!(←チューブエクササイズ、タールギャザーなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
この時期は、痛みを減らすことが最優先になります。
痛みが出る動きはしないようにしましょう。
痛みが早くなくなれば、その分早く筋トレなどが開始できます
リハビリ前期(つま先立ちが痛くない 1週間〜3週間)
・ふくらはぎ・足の裏の筋肉のほぐし!(←継続)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
体重をかけたトレーニングを開始しますが、痛みの再発は要注意です。
焦りすぎないようにしましょう。
リハビリ中期(ジャンプ、ケンケンが痛くない 2〜5週間)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①〜③を達成できるようにしましょう!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
アキレス腱障害と同じように、踵がぐらつくことで患部の負荷が増えてしまいます。
走り始める前に安定してケンケンできることがとても大切です
リハビリ後期(ランニングしても痛くない 3週〜6週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の押した痛みは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「押した痛み」と、「ふくらはぎの硬さ」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
シーバー病とシューズ
「裸足では痛くないのに、シューズを履くと踵部分が当たって痛い」ことがあります。
踵にフィットするシューズを選択しましょう!

まとめ

ここまで、シーバー病の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

シーバー病は後遺症が残るリスクはほとんどないですが、痛みが残りやすく場合も多いケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1] Hedrix, Calcaneal apophysitis (Sever disease). Clin Podiatr Med Surg. 2005 Jan;22(1):55-62

[2]踵骨骨端炎 - 下肢のスポーツ外傷・障害 - 講座スポーツ整形外科学3.  近藤英司 編集, 中山書店, 321-327, 2021 

[3]Perhamre et al., Sever\'s injury: a clinical diagnosis. J Am Podiatr Med Assoc . 2013 Sep-Oct;103(5):361-8

 

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