足底腱膜炎とリハビリテーション

今回は足底腱膜炎(Plantar fasciitis)の対処法について書いていきます。

足底腱膜炎は、足の裏の痛みで、足部の疾患の中では頻度が高くランニング障害の中でも3番目に多い疾患であると報告されています[]。

踵は、筋肉や腱膜・神経などが多く存在する上に、体重がダイレクトにかかるため痛みが出やすい部分なんです。

今回はそんな足底腱膜炎についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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足底腱膜炎とは?

足底腱膜炎とは、足底腱膜の踵骨付着部の炎症をさします(図1)。

成人の慢性的な踵の痛みの原因で最も多く、若いスポーツ選手と40-50代以降の一般の方に多くみられます[]。

 

足底腱膜には、荷重によって①伸長ストレス②圧迫ストレスの両方のストレスが加わるため炎症が生じやすくなります(図2)[]。

また、踵の内側から足底を支配している、内側/外側足底神経も痛みの原因となることがあります。

 

足底腱膜炎説明
図1:足底腱膜炎のイメージ図。踵の骨の付着部に痛みが出ます。

 

 

あきと
足底腱膜は、厚く丈夫な表在性の筋膜から生じた組織で、足のアーチの維持や足底の血管・神経・筋肉を荷重圧から保護する役割があります。

 

足底腱膜の機能の説明 ウィンドラス機構 Windlass mechanism
図2:足底腱膜の機能の説明。 文献3より引用しています。(A):足底腱膜は荷重時にアーチの形状を保持します。 (B):歩行時に、①つま先が背屈すると、②足底腱膜の張力が増すことで足底腱膜が短縮し、③アーチが安定します。

 

 

また、慢性的に足底腱膜の緊張が高い場合、図3のように足底腱膜の踵骨付着部に骨棘(出っ張り)ができることがあります。

しかしながら、この骨棘は、足底腱膜炎の症状や足底腱膜の機能に影響しないと報告されている]ため、あまり気にしなくても良いようです。

足底腱膜炎 踵骨 骨棘
図3:足底腱膜の踵骨付着部の骨棘

 

あきと
(骨棘は気にしないで良いと報告されていますが、)個人的には、骨棘周囲の腱膜や脂肪体組織は固くなりやすく、骨棘の部分にピンポイントで圧痛がある場合は要注意だと思っています。
エコーで、圧をかけたり/かけなかったりしたときの、骨棘周囲の組織の動きを見るとわかりやすいかもしれません。

足底腱膜炎を起こしやすいシーン

スポーツ選手では、ランニングの多い陸上長距離バスケットボールサッカーなどでよく起こります。

また、中高年になると一般の生活の中でも足底腱膜炎になることが多く、一般の人の生活では体重が多い人]、ランニングを行っている人]がなりやすいと報告されています。

 

足底腱膜炎のよくある症状

・朝歩きはじめると、足の裏が痛い
・足の裏を押すと痛い(図4)
・足裏が地面に当たると痛い
・歩行時の蹴り出しで痛い
・走ると痛い

あきと
足底腱膜炎の特徴は、朝の1歩目、2歩目の痛みです
足底腱膜炎 圧痛部位
図4:足底腱膜の圧痛ポイントのイメージ図。足底腱膜自体、踵骨の足底腱膜付着部、踵の内側(母指外転筋付着)で圧痛が出やすいです。

病院で行う検査

症状が軽度の場合は、診察のみのことも多いです。

画像検査をする場合は、エコー検査で患部の炎症の有無や足底腱膜の状態を確認し、レントゲン検査で骨棘の有無の確認、MRI検査で筋肉・腱膜の損傷の程度などを判断します。

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(荷重時痛、伸長時痛、tinelテスト)などを行います。

 

足底腱膜炎 エコー画像
図5:足底腱膜炎のエコー画像。文献3より引用しています

             

足底腱膜炎と診断されたら

基本的には保存療法で、リハビリを行います。

<また、足底腱膜炎に対しては、対外衝撃波治療も保険適用となっています。

痛みがひどく、長期にわたる人は、手術よって骨棘を切除したり、固くなりすぎた足底腱膜を緩める場合もあります。

 

体外衝撃波治療に簡単について説明しますね。

体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy :ESWT)

「収束型」と「拡散型」の衝撃波があり、収束型が本命ですが、拡散型も効果があるという報告も出てきています。

日本では、足底腱膜炎のみ保険適応とされています。

また、収束型は機器が高額のため台数が少ないです。

治療を希望される場合は調べてから病院に行きましょう!

 

順天堂大学のHPがわかりやすかったのでリンクを貼っておきます[6]。

 

足底腱膜炎のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「足底腱膜(ふくらはぎも)を緩める」、「アーチを良い形状に」、「足・周囲の固定力up」です!

 

※具体的なリハビリメニューは↓の記事で紹介しております。

 

※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
炎症期(足裏が腫れている、ストレッチをして痛い時期 ~1週間)
・RICE処置
・足底腱膜(足の裏)・下腿三頭筋(ふくらはぎ)・ハムストリングス(太もも裏)のほぐし!(←とにかく足底腱膜に繋がる部分を柔らかくする)
・荷重無しで足部周囲のの筋トレ!(←座ってカーフレイズ、足趾のエクササイズなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
この時期は、腫れを無くすこと、足底腱膜を緩めることがとにかく重要です!
リハビリ前期(ストレッチ・つま先立ちが痛くない 1週間〜2週間)
・足底腱膜・下腿三頭筋・ハムストリングスのほぐし!(←継続)
・特に、足裏の外側・くるぶし周囲のほぐし(←アーチの形状のため)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
体重をかけても痛くなくなったら、荷重位でのトレーニングを開始します!
リハビリ中期(ジャンプ、ケンケンが痛くない 2〜4週間)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①~③を達成できるようにしましょう!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
ケンケンでも安定できれば、ジョギングで痛みや腫れがでてくるリスクは低いと思います!
リハビリ後期(ランニングしても痛くない・腫れない 3週〜6週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の足底腱膜の硬さは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「腫れ」と、「足底腱膜の硬さ」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
足底腱膜炎とインソール
インソールも非常に重要です!
足のブレを防ぐために内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチにフィットする物を用いましょう。
踵への衝撃を防ぐために、踵部分のクッションであるヒールカップだけでも有効な場合もあります!

まとめ

ここまで、足底腱膜炎の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

足底腱膜炎は痛みが残りやすく再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1]Taunton et al., A retrospective case-control analysis of 2002 running injuries. Br J Sports Med. 2002 Apr;36(2):95-101

[2]Neufeld et al., Plantar fasciitis: evaluation and treatment. J Am Acad Orthop Surg. 2008 Jun;16(6):338-46.

[3] Latt et al., Evaluation and Treatment of Chronic Plantar Fasciitis. Foot Ankle Orthop. 2020 Feb 13;5(1)

[4]Ahmad et al., Treatment of Plantar Fasciitis With Botulinum Toxin. Foot Ankle Int. 2017 Jan;38(1):1-7

[5]Riddle et al., Risk factors for Plantar fasciitis: a matched case-control study. J Bone Joint Surg Am. 2003 May;85(5):872-7

[6] 順天堂大学医学部付属順天堂医院HPより. 体外衝撃波治療とは

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