第2~4中足骨疲労骨折とリハビリテーション

今回は第2〜4中足骨疲労骨折の対処法について書いていきます。

第2〜4中足骨疲労骨折は、ランナーに多く、走ったときの足の甲の痛みが特徴的です。

比較的治りやすいケガですが、再発も多く、リハビリが大切になってきます。

今回はそんな第2~4中足骨疲労骨折についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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中足骨疲労骨折とは?

中足骨疲労骨折とは、足の甲にある中足骨が疲労骨折を起こしている状態をさします。

中足骨」と「疲労骨折」について説明しますね。

 

中足骨

中足骨は足の甲の部分にある細長い骨です。

5本ある足の趾に繋がっているため、中足骨も5本あります。

5本のうち、親指側から、第1中足骨、第2中足骨・・・第5中足骨と呼んでいます(図1)。

 

中足骨 
図1:中足骨のイメージ図。親指側が第1中足骨であり、第2〜5と並んでします。

 

疲労骨折

疲労骨折とは、小さな外力が骨の同じ部位に繰り返し加わることによって生じる骨折のことをさします。

疲労骨折と一言で言っても、骨の内部の炎症や、骨のヒビ、完全骨折など色々な状態が含まれています。

 

 

疲労骨折はすべてのスポーツ傷害のうち、0.7~20%の割合で発生すると言われています[]。

特にランナーに着目すると、ケガのうち16%は疲労骨折であり、比較的頻度の高いケガであると報告されています[]。

 

あきと
【疲労骨折の起こりやすい部位[]】
すべての疲労骨折のうち、下肢(太ももから足まで)の疲労骨折が80〜90%で圧倒的に多いです。
下肢の中でも一番多いのが、脛骨(スネの骨)で23.6%、次に足舟状骨(足の甲の付け根の骨)で17.6%、中足骨が16.2%と報告されています。

中足骨の疲労骨折(第1~5すべて含む)は、スポーツ選手の中でも起こりやすいケガなんです。

 

中足骨の疲労骨折は第1中足骨〜第5中足骨まですべての骨で起こります。

第1中足骨で発生すれば第1中足骨疲労骨折、第5中足骨で発生すれば第5中足骨疲労骨折と言われます。

 

・第1中足骨は太いため、疲労骨折の頻度は低いです。

第5中足骨疲労骨折(Jones骨折)は難治性で手術が必要となるため、分けて論じられることが多いです。

 

そのため、頻度が高く一緒に論じられることが多い第2〜4中足骨疲労骨折を以下にまとめて説明していきます。

 

第2〜4中足骨疲労骨折

その名の通り、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨に起こる疲労骨折のことをさします。

ランニングなどで足の甲の痛みを自覚し、ひどくなると歩いていても痛みを感じます。

特に朝の歩行時痛が強いと訴えることが多いです。

第2〜4中足骨骨幹部の疲労骨折は、治癒しやすいため低リスクの疲労骨折とされています。

一方で、第2中足骨の基部(付け根)の骨折は高リスクの疲労骨折に分類され、治りにくいという特徴があるため、注意が必要です[]。

 

【疲労骨折とレントゲン・MRI画像】
疲労骨折の初期は、レントゲンに映らないと言われています。
そのため、疲労骨折の初期の確認にはMRIが有効とされています。

図2:この図は第4中足骨疲労骨折選手のレントゲン画像です。
Aは症状が出始めているレントゲンですが、異常は見当たりません。
Bは4週間後のレントゲン画像です。黒矢印にに骨折線とまわりにもやもやした仮骨(骨の癒合しようとする反応)が確認できます。
Cは8週間後のレントゲン画像で、もやもやした仮骨の輪郭がはっきりしてきています。

 

図3:この図は上のレントゲン画像と同じ選手のMRI画像です。
レントゲンのAの画像から2週間後の画像です。第4中足骨の中に白くなっている部分や骨折線が確認できます。

Michael Fredericson et al., Stress fractures in athletes. Top Magn Reson Imaging . 2006 Oct;17(5):309-25.

 

中足骨疲労骨折を起こしやすいシーン

第2中足骨、第3中足骨は荷重がかかりやすいため、ランナーなど、走ることが多い競技選手に多く発生します。

また、バレエなどのつま先立ちを繰り返すスポーツでも多く発生しています。

 

第2中足骨 負荷
図4:第2中足骨に負担がかかるイメージ図。第2中足骨が長いことで、歩くとき、走るときの蹴り出しで負担がかかりやすい

 

中足骨疲労骨折のよくある症状

・歩くと足の甲が痛い
・中足骨を押すと痛い
・比較的朝の痛みが強い
・走ると痛い、ジャンプすると痛い
骨を押したときの痛み、朝の痛みが特徴的です。
図5:第2〜4中足骨疲労骨折の圧痛部位

 

 

病院で行う検査

レントゲン検査、MRI検査、CT検査、エコー検査を行うことがあります。

レントゲン検査では、骨折線や仮骨(骨折後の癒合反応)の有無を確認します。

前述したように、疲労骨折初期ではレントゲンでわからない場合も多いため、MRI検査では骨の中の状態を確認することができます。

骨折線が複雑な場合や、レントゲンで判断が難しい場合は、CT検査で、より詳細な骨の状態を確認することができます。

エコー検査では、骨の表面の状態を確認することができます。エコー検査はとても簡便なため、スクリーニングとして行うことも多いです。

 

第2中足骨疲労骨折
図6:第2中足骨疲労骨折のMRI画像。

 

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(骨の押した痛みのチェック)、スペシャルテスト(骨に負担をかけたときの痛み、叩打痛、荷重時痛)などを行います。

             

中足骨疲労骨折と診断されたら

基本的には、保存療法でリハビリを行っていきます。

第2中足骨基部の疲労骨折は難治性であるため、専門の先生と治療方針をよく相談しましょう。

 

ここからリハビリについて説明していきますね。

第2〜4中足骨疲労骨折のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「骨の癒合」、「足アーチの安定」、「足首の柔軟性・固定力改善」です!

第2中足骨、第3中足骨は特に横アーチの安定がポイントになってきます!

※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!

 

具体的なリハビリメニューは↓のページで紹介しています。

 

 

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・押した痛みが悪化していないこと!
 リハビリ中は、「リハビリ後」「翌日朝」の中足骨を押した痛みを必ず確認しましょう。
 悪化がなければOKです!
安静時期(骨の癒合を待つ時期 〜4週間)
・歩き過ぎない
・LIPUS、体外衝撃波治療など
・足底・足首周囲のほぐし!(←アーチ形状の改善・足関節の柔軟性改善)
・荷重なしで足首・足趾の筋トレ!(←チューブエクササイズ・タオルギャザーなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
まずは骨の癒合が第1です!
安静期間を確認し、レントゲンで癒合を確認してから次のステップに進みましょう!
リハビリ前期(荷重開始時期 4週間〜)
・足底・足首周囲のほぐし!(←アーチ形状の改善・足関節の柔軟性改善)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
荷重トレーニングを行った後は、押した痛みを必ずチェックしましょう!
リハビリ中期(ジョギング開始時期 6週〜)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①②を達成できるようにしましょう!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
ケンケンでも安定できれば、ジョギングで中足骨への負担が軽減します!
リハビリ後期(スポーツ動作導入時期 8週〜)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の押した痛みは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない 8週〜)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
押した痛みは必ずチェックしましょう!
中足骨疲労骨折とインソール
インソールも非常に重要です!
足のブレを防ぐために内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチにフィットする物を用いましょう。
第2〜4中足骨疲労骨折は特に横アーチのフィット感も大切です!

まとめ

ここまで、中足骨疲労骨折の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

中足骨疲労骨折は順調に回復しやすいケガですが、再発も多いです。

基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1]Leamor Kahanov et al. : Diagnosis, treatment, and rehabilitation of stress fractures in the lower extremity in runners. Open Access J Sports Med. 2015 Mar 27;6:87-95. 

[2]Yin-Ting Chen et al. : Update on stress fractures in female athletes: epidemiology, treatment, and prevention. Curr Rev Musculoskelet Med. 2013 Jun;6(2):173-81.

[3]Michael Fredericson et al. : Stress fractures in athletes. Top Magn Reson Imaging . 2006 Oct;17(5):309-25.

 

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