フライバーグ病とリハビリテーション

今回はフライバーグ病(Freiberg病)の対処法について書いていきます。

フライバーグ病は10代の女性に多い第2中足骨の無腐性壊死のことを言います。

重症化すると手術が必要になることもあるため、しっかり骨の状態を確認して対応していく必要があります。

今回はそんなフライバーグ病についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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フライバーグ病とは?

フライバーグ病とは、中足骨の骨頭(先端)に繰り返し負荷がかかることで、骨の無腐性壊死が生じる状態をさします(図1)。

骨の微細な骨折が繰り返され、さらに骨頭部を栄養している血管が阻血状態になることで生じると言われています[]。

 

 

フライバーグ病
図1:フライバーグ病で痛みの出る部位。第2中足骨骨頭、第3中足骨骨頭部に痛みが出ます。

 

その割合は、第2中足骨に68%、第3中足骨に27%であると報告されており[]、第2中足骨に多い理由としては、第2中足骨が一番長いことが原因であると考えられています(図2)[]。

また、フライバーグ病は10代前半の女性に多く発症します[]。

 

フライバーグ病
図2:フライバーグ病が第2中足骨に多いイメージ図。第2中足骨が長いことで、歩くとき、走るときの蹴り出しで負担がかかりやすい。

 

フライバーグ病は5つのステージに分類されており、ステージによって治療方針が異なってきます[]。

以下に5つのステージを紹介していきます。

Smillie, Treatment of Freiberg's infraction.Proc R Soc Med. 1967 Jan;60(1):29-31. から引用しています。)

 

Smillieの分類 イメージ図(文献5より引用) 説明
ステージⅠ

軟骨の下の骨の微細な骨折がある。

ステージⅡ 骨頭部の圧壊によって、関節面(先端)が平坦になってくる。
ステージⅢ

圧壊が進行して中央部分が凹み、両端に突起が残る。

足底部分の軟骨に問題は生じていない。

ステージⅣ

足底部分の軟骨損傷も生じ、両端の突起や足の甲側の突起に骨折が生じる。

解剖学的な構造の復元は難しい状態。

ステージⅤ 骨頭が完全に平坦化し、関節が変形している状態。

 

 

あきと
フライバーグ病は、1914年にFreibergさんが報告したため、その名がつきました。
ただ、もっと前の1908年にKohlerさんの報告にも載っていたため、第2ケーラー病とも呼ばれています。

あおい

第2ケーラー病ってことは、第1ケーラー病は別にあるんですか?

あきと
第1ケーラー病は、足舟状骨の無腐性壊死のことをさします。

フライバーグ病を起こしやすいシーン

フライバーグ病は10代前半の女性に多く、女性と男性の発生比は5:1だと報告されています[]。

ランニングやジャンプなどの、中足骨頭に負担のかかりやすいスポーツで多く発生します。

 

フライバーグ病のよくある症状

・第2/3中足骨頭を押すと痛い(図3)
・第2/3趾を伸展すると痛い(図3)
・歩くときの蹴り出しで痛い
・走ると痛い
・ジャンプをすると痛い

 

フライバーグ病 痛み
図3:フライバーグ病は、第2/3中足骨骨頭部を押したときの痛み、足趾を伸展したときの痛みが特徴的です。

 

病院で行う検査

基本的には、レントゲン検査で中足骨頭の状態を確認します。

状況に応じて、骨の形状を詳細に確認する場合はCT検査、骨の中や軟骨の状態を確認する場合はMRI検査、骨の表面の形状や炎症を確認する場合はエコー検査などを行います。

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(足趾の伸展時痛/可動域制限、荷重時痛)などを行います。

 

フライバーグ病のレントゲン画像
図4:フライバーグ病のレントゲン画像

            

フライバーグ病と診断されたら

基本的には保存療法となりますが、手術療法が適応される場合もあります。

前述したSmilieのステージ分類を参考にすると、ステージⅠ、Ⅱでは保存療法、ステージⅢ以上で手術療法が選択される場合があります[]。

以降では、保存療法のリハビリについて説明していきますね。

 

フライバーグ病のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「荷重負荷のコントロール」、「アーチの形状・骨の可動性の改善」、「足首・周囲の固定力up」です!

骨の状態を管理することが第一ですので、まずは病院の先生の指示に従い、荷重負荷をコントロールしましょう。

また、フライバーグ病と足のアーチはとても深く関係しています。

特に横アーチが潰れると第2中足骨、第3中足骨への負担が上がってしまうため(図5)、リハビリで対応する必要があります。

(そもそも第2中足骨は長いので、負担がかかりやすいです。)

 

足のアーチ
図5:足のアーチのイメージ図。アーチは内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つあり、テントのような形になっています。この3つのアーチは密接に関係しあっていますが、フライバーグ病では特に横アーチが重要になってきます。

 

 

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!
炎症期(押して痛い、足趾を伸展して痛い、歩いて痛い時期 ~1 - 2 週間)
・腫れている場合は、RICE処置
・足底・足首周囲のほぐし!(←アーチの形状・骨の可動性の改善のため)
・荷重なしで足首・足趾周囲の筋トレ!(←座ってカーフレイズ、チューブエクササイズ、ショートフットエクササイズなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
まずは安静にしつつ、痛みや骨が安定するまでに、アーチの形状や足趾・中足骨の可動性を改善しましょう!
リハビリ前期(つま先立ち痛くない 2週間〜4週間)
・足底・足首周囲のほぐし!(←継続)
・足首・足趾周囲の筋トレ!(←継続)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
体重をかけたエクササイズ後は、痛みが悪化していないかチェックしましょう!
リハビリ中期(ジャンプ、ケンケンが痛くない 3〜6週間)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①②を達成できるようにしましょう!
①足趾の伸展可動域左右差無し
②片足カーフレイズ30回

あきと
ジョギング前に、可動域と筋力は回復している必要があります!
リハビリ後期(ランニングしても痛くない・腫れない 4週〜8週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の痛みは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「押した痛みの再発」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
フライバーグ病とインソール
インソールも非常に重要です!
特にフライバーグ病では横アーチがポイントになるため、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの全てにフィットする物を用いましょう。

まとめ

ここまで、フライバーグ病の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

フライバーグ病は初期にしっかりと対応すれば大きな問題は生じないケガですが、進行してしまうと厄介です。

基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1]DiGiovanni et al., Osteonecrosis in the foot.J Am Acad Orthop Surg. 2007 Apr;15(4):208-17.

[2]Carmont et al.,Current concepts review: Freiberg's disease. Foot Ankle Int. 2009 Feb;30(2):167-76

[3]Freiberg病 - 下肢のスポーツ外傷・障害 - 講座スポーツ整形外科学3.  近藤英司 編集, 中山書店, 331-334, 2021 

[4]Katcherian, Treatment of Freiberg's disease. Orthop Clin North Am. 1994 Jan;25(1):69-81.

[5]Smillie, Treatment of Freiberg's infraction.Proc R Soc Med. 1967 Jan;60(1):29-31.

 

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