内果疲労骨折とリハビリテーション

今回は内果疲労骨折(medial malleolar stress fractures)の対処法について書いていきます。

内果疲労骨折はサッカー選手などに多く発生し、難治性の疲労骨折に分類されています。

手術療法が適応されることも多く、困っている選手も多いと思います。

今回はそんな内果疲労骨折についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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内果疲労骨折とは?

内くるぶしにある脛骨の内果(図1)の疲労骨折をさします。

若い男性に多く発生し[]、難治性の疲労骨折であるため、治療方針は専門の先生と相談して決める必要があります。

疲労骨折が初期の段階の場合は、保存療法で癒合することもありますが、転位のある完全骨折は手術療法が適応されます[]。

 

内果
図1:内果のイメージ図。内くるぶし=内果です。

 

内果疲労骨折は内果部分に斜めに亀裂が入ることが多いですが(図2)[]、骨折の初期にはレントゲンで確認できないこともあるため、MRI検査を行うこともあります。

内果疲労骨折 レントゲン画像
図2:内果疲労骨折のレントゲン画像。斜めに亀裂が入ることが多いです。レントゲン画像は文献3(Lee et al. 2019 Medicine(Baltimore))より引用しています。

内果疲労骨折を起こしやすいシーン

ランニングやジャンプなどを繰り返す、サッカーや陸上競技、バスケットボール、器械体操などで発生すると報告されています[]。

 

 

内果疲労骨折のよくある症状

・内くるぶし周囲(足首の内側)が痛い(図3)
・内くるぶしを押すと痛い(図3)
・ジャンプなどの衝撃が痛い
・足首を曲げて荷重をかけると痛い(図3)
・歩いていて痛い

ランニング、ジャンプなどの足首に衝撃が加わった時の内くるぶし周囲の痛みが特徴的です。

また朝に痛みが強くでやすい傾向があります。

 

内果疲労骨折 痛み
図3:内果疲労骨折の痛みの部位のイメージ図。内くるぶしの押した痛みや、足首を曲げて前に体重をかけたときの痛みが特徴的です。

 

病院で行う検査

レントゲン検査で骨折の有無を確認します。

一方で、疲労骨折の初期ではレントゲンに映らない場合も多いため、MRI検査で骨の中の状態を確認したり(図4)[]、CT検査で細かい骨折線の確認をしたいすることもあります。

 

内果疲労骨折 MRI
図4:内果疲労骨折のMRI画像。文献5より引用しています。

 

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(荷重時の痛みの確認)などを行います。

             

内果疲労骨折と診断されたら

疲労骨折が初期の段階の場合は、保存療法で癒合する場合もあります。

一方で、完全に骨折してしまった場合や、スポーツに早期復帰したい場合は手術療法を選択することも多いです。

いずれの場合でも、内果に負担がかかってしまった原因を改善するリハビリがとても重要になります。

ここからリハビリについて説明していきますね。

 

内果疲労骨折のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「荷重負荷のコントロール」、「足首周りの動きの改善」、「足首の安定性の改善」です!

 

※リハビリの期間は医師からの指示に従い、自分に合った進め方をしましょう!

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
非荷重期(体重をかけない時期)
LIPUS、ESWTなどの骨折治療
・足首周囲のほぐし!(←周囲の筋肉のマッサージ)
・荷重なしで足趾の筋トレ!(←座ってタオルギャザーなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
荷重のコントロールはとても大切です!
先生から荷重制限の指示が出たら必ず従いましょう!
部分荷重期(部分荷重が許可された時期)
・足首周囲のほぐし!(←継続)
・足首周囲の筋トレ!(←座ってカーフレイズ、足首のチューブトレーニングなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←継続)

あきと
少しずつ足首に負荷をかけていきます。
荷重開始期(歩行の許可が出た時期)
・足首周囲のほぐし!(←継続)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←継続)

あきと

この時期までに足関節の可動域の左右差はなくしておきましょう!

ジョギング開始期(ジョギングの許可が出た時期)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①②を達成できるようにしましょう!
①片足カーフレイズ30回
②ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
足首が安定した状態でジョギングを開始しましょう!
リハビリ後期(ステップワーク、部分練習開始許可が出た時期)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の押した痛みは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
押した痛みのチェックは必須です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!

まとめ

ここまで、内果疲労骨折の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

内果疲労骨折は難治性のケガですので、先生の指示に従いながら基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
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参考文献

[1]Val Irion et al. : The treatment and outcomes of medial malleolar stress fractures: a systematic review of the literature. Sports Health. 2014 Nov;6(6):527-30. 

[2]近藤英司 編集. 足関節・足部の疲労骨折 -講座スポーツ整形外科3 下肢のスポーツ外傷・障害- 中山書店. 2021. 264-269

[3]Lee et al. : Medial malleolar stress fracture resulting from repetitive stress caused by lateral ankle instability: A case report. Medicine (Baltimore). 2019 Feb;98(5):e14311.

[4]Jun Iwamoto et al. : Stress fractures in athletes: review of 196 cases. J Orthop Sci. 2003;8(3):273-8.

[5]Lempainen et al. : Medial malleolar stress fracture in athletes: diagnosis and operative treatment. Scand J Surg. 2012;101(4):261-4.

 

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