今回は膝後十字靭帯(PCL)を損傷してしまったの対処法について書いていきます。
軽傷であれば大きな問題はありませんが、靱帯が断裂し大きく緩みが出てしまうと不具合を感じやすい厄介なケガです。
今回はそんなPCL損傷について解説していきたいと思います!
目次
膝PCL損傷とは?
膝PCL損傷とは膝の中にある大腿骨と脛骨を繋いでいる膝PCLが損傷(部分断裂、完全断裂など)している状態をさします(図1)。
膝PCLはスネの骨(脛骨)がずれないように止めている靱帯ですので、損傷すると脛骨が後にずれる感覚がでてきます(図2、sagging徴候)。
損傷はI度、Ⅱ度、Ⅲ度と分類され、復帰まではI度では3~6週間、Ⅱ度では6~12週間、Ⅲ度では手術療法の適応となり8ヶ月〜12ヶ月ほどかかると言われています。
膝PCL損傷を起こしやすいシーン
「地面に膝をぶつける」、「相手選手と膝が衝突する」など膝下の脛骨を直接ぶつけることで膝PCL損傷が発生します[1]。
手術適応の可能性もあり、膝が緩くなった場合はリハビリテーションが重要になるため、必ず病院を受診しましょう。
膝PCL損傷後のよくある症状
・膝を曲げると痛い
・膝がズレる感じがする
・靴を脱ぐ時(踵をひっかけると)痛い
上記の症状がある場合は必ず病院に行きましょう!
病院で行う検査
病院で膝PCL損傷と確定診断するためには、MRI(磁気共鳴画像)検査が必要です。
一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(後方引き出しテスト、sagging徴候)などを行い、PCL損傷の疑いがある方はMRI検査となります。
膝PCL損傷と診断されたら
中等度(Ⅱ度)以下の損傷では、基本的には保存療法となります。
中等度損傷の場合は、復帰段階でも靱帯の弛みが残ることが多いですので、その分膝周囲の筋力をアップさせるリハビリが非常に重要です。
重度(Ⅲ度)の損傷では、手術療法が適応される場合が多いです。
膝PCL損傷のリハビリテーション
基本的にはこの保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します!
保存療法のリハビリテーション
中等度の損傷をイメージしてリハビリの流れを記載しています!
★太ももの前の筋肉を鍛える!(←大腿四頭筋:特に内側広筋の筋トレ)
★ふくらはぎとお尻の筋肉を鍛える!(←下腿三頭筋と殿筋の筋トレ)
・ジョギングを開始する!
・ラダーなどの細かいステップワークを確認する!
下腿三頭筋はPCLを守ってくれる大切な筋肉です!
横方向の細かいステップの方が痛みが出ないことが多いようです!
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
直線の全力疾走は要注意です!
ハムストリングスが100%の力で収縮できますか?
復帰していく段階では、筋肉の張りも要注意ですね!
手術療法のリハビリテーション
Ⅲ度損傷や靱帯の緩みが強い場合は手術療法が適応となります。
前十字靭帯損傷の手術よりも再断裂のリスクは少ないですが、緩さが残りやすいので、術後のリハビリは慎重に進めなければなりません。
基本的なリハビリテーションの流れは「保存療法」と同じですが、装具の使い方やエクササイズを進める時期は必ず執刀医の先生と相談して決めて下さい!
とにかく、緩みが残りやすいんです。
おおまかなスケジュールを記載していきますが、あくまで執刀医の先生のスケジュールを大切にして下さい!
・太ももの前の筋肉を鍛える!(大腿四頭筋のセッティング)
・1ヶ月から全荷重スタート
・カーフレイズ開始!
・浅めのスクワットスタート!
・バイクスタート!
・60%くらいまでのスピードアップスタート!
・軽いラダースタート!
まとめ
ここまで、膝PCL損傷後の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
膝PCL損傷は緩みが残ると不具合が出やすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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参考文献
[1]近藤英司 編集. 後十字靭帯損傷 -講座スポーツ整形外科3 下肢のスポーツ外傷・障害- 中山書店. 2021. 43-49