膝蓋骨脱臼とリハビリテーション

今回は膝蓋骨脱臼(お皿の骨の脱臼)を損傷してしまったの対処法について書いていきます。

膝蓋骨脱臼は再脱臼しやすいため、リハビリがとても重要になります。

今回はそんな膝蓋骨脱臼について解説していきたいと思います!

 

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膝蓋骨脱臼とは?

膝蓋骨脱臼とは膝のお皿の骨(膝蓋骨)が外側に脱臼してしまうことをさします。

お皿を内側から制御している、内側膝蓋大腿靭帯(MPFL:medial patellofemoral ligament)が切れてしまうことで脱臼が生じます。

 

 

初回の脱臼は10歳代の女性が生じることが多く、その後20~50%の方が繰り返し脱臼をきたすことがあります(反復性脱臼)[1]。

海外のレビュー論文では、初回脱臼後保存療法を行った時の再脱臼率が23.5%、手術療法を行ったときの再脱臼率は12.9%であったと報告しています[2]。

手術をするのか、保存療法をするのか非常に悩ましいケガですね。

 

膝蓋骨脱臼を起こしやすいシーン

膝前十字靭帯損傷と同じように膝が「外反する(内側に入る)」ことで膝蓋骨脱臼が発生することが多いです。

手術適応の可能性もあり、リハビリテーションが重要になるため、必ず病院を受診しましょう

膝蓋骨脱臼のよくある症状

・膝のお皿の周辺が痛い(内側が多い)
・膝が腫れている
・膝に力が入らない
・膝くずれ、不安定感がある
・膝のお皿が外に脱臼している(自然に整復することが多いです)

あきと
前十字靭帯損傷や半月板損傷、内側側副靭帯損傷などを合併している可能性もあります。
必ず病院に行きましょう!

病院で行う検査

病院で膝蓋骨脱臼と診断するためには、レントゲン検査MRI(磁気共鳴画像)検査が必要です。

一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(apprehension sign)などを行い、膝蓋骨脱臼の疑いがある方はレントゲン検査やMRI検査となります。

 

膝蓋骨脱臼 MPFL損傷 骨挫傷 bone bruise MRI

膝蓋骨脱臼 レントゲン 画像 

 

膝蓋骨脱臼と診断されたら

保存療法手術療法のどちらかを選択していきます。

「お皿の骨の不安定性」や「骨折の有無」、もともとの「骨の形状」、「復帰したい時期」、「学年」などを考慮して総合的に判断してくことになります。

以下に手術療法と保存療法のそれぞれのメリット・デメリットを書いてみます。

手術療法のメリット・デメリット
○メリット
・再脱臼率が低い

×デメリット
・復帰まで時間がかかる(6ヶ月ほど)
・手術後痛い
・膝に傷ができる

・合併症の可能性がある
保存療法のメリット・デメリット
○メリット
・復帰までが早い(3ヶ月ほど)
×デメリット
・再脱臼率が高い

あおい
3ヶ月後に引退試合があるなどの場合は、保存療法を選択する理由になりますね!

あきと
でも、保存療法の場合は、大切な試合の直前に再脱臼してしまうリスクも高いんです...
そのリスクも考えて決めないといけないですね。

治療方針の選択は、とても迷う場合も多いです。

専門のドクターの診察が不可欠ですので、かならず病院を受診しましょう!

 

膝蓋骨脱臼のリハビリテーション

保存療法の場合、手術療法の場合のでリハビリテーションを解説していきます!

保存療法のリハビリテーション

中等度の損傷をイメージしてリハビリの流れを記載しています!

炎症期(受傷後3日〜1週間ほど)
RICE処置

あきと
腫れが残りやすいので、3日RICE処置をしても腫れと熱感が残る場合は1週間ほどくりかえしましょう!
リハビリ前期(3日〜4週)
・可動域を改善する!(←膝の伸ばしを優先、曲げは無理せずに!)
内側広筋を鍛える!(←何が何でも内側広筋です!)
★お尻の筋肉を鍛える!(←殿筋の筋トレ)

あきと
膝蓋骨脱臼のリハビリでは、内側広筋の筋トレがすごく重要です!!
リハビリ中期(4週〜8週)
・体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・ジョギングを開始する!→徐々にスピードアップ
・ラダーなどの細かいステップワークを確認する!

あきと
体重をかけたトレーニングでは、Knee-in(膝が内側に入る)に注意しましょう!
リハビリ後期(8週〜12週)
・全力疾走を確認する!
・本格的なステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
Knee-in注意です!!
復帰前のチェックポイント!
・Knee-inせずにステップワークできていますか?
・大腿の筋力は左右差無くなっていますか?
復帰期(10〜14週)
・2〜4週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
太ももの外側の筋肉が張っていると不具合が出ることが多いです!
合流していく時は、筋肉の張りも要チェックですね!

手術療法のリハビリテーション

保存療法よりも再断裂率は低いですが、それでも約13%の再断裂が報告されています[]。

基本的なリハビリテーションの流れは「保存療法」と同じですが、術後の可動域の管理などは執刀医の先生によって違います。

おおまかなスケジュールを記載していきますが、あくまで執刀医の先生のスケジュールを大切にして下さい!

術後 〜1ヶ月
・膝を伸ばしきる! (曲げは許可が出ている角度まで。)
・太ももの前、裏、お尻の筋肉を鍛える!(大腿四頭筋のセッティング)
術後1ヶ月〜
・曲げも少しずつ進めていく!
・浅めのスクワットスタート!
術後2ヶ月〜
・屈曲可動域フル!
・普通の自重スクワットスタート!
術後3ヶ月〜
・ジョギングスタート!
術後4ヶ月〜
・30分ジョギングOK
・60%くらいまでのスピードアップスタート!
・軽いラダースタート!
術後5ヶ月〜
・全力スプリント!
・ステップワーク、ジャンプスタート
・徐々に対人、リアクションスタート!
術後6ヶ月〜
・徐々に練習参加開始!

あきと
保存療法の時と同じように、体重をかけたトレーニングでは、Knee-in(膝が内側に入る)に注意しましょう!

まとめ

ここまで、膝蓋骨脱臼後の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

膝蓋骨脱臼は再脱臼のリスクが高く、筋力も回復しにくいケガです。

ポイントをしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

 

あきと
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