今回は頚椎症性神経根症・脊髄症(cervical spondylotic radiculopathy ・myelopathy)になってしまったときの対処法について書いていきます。
頚椎症性神経根症は上肢の痺れ・痛みや首の痛みが主な症状である疾患で、上肢の筋力低下・感覚障害を引き起こすこともあります。
頚椎症性神脊髄症は、上肢の痺れ、上肢・下肢近位筋の脱力感、首の痛みの症状が出てきます。
いずれも、頚椎(首の骨)の加齢変化によって神経を圧迫し、圧迫された神経が支配している上肢や下肢に症状が出てしまいます。
骨の状態は変えることができませんので、リハビリで姿勢や筋肉の緊張・使い方を改善していく必要があります。
今回はそんな頚椎症性神経根症・脊髄症について解説していきたいと思います!
目次
頚椎症性神経根症・脊髄症とは?
頚椎症とは、加齢変化などによって頚椎や椎間板が変性している状態をさします(図1)。
X線検査をすれば50代以上のほとんどの方に加齢変化が見られますが、コンタクトスポーツを行っている選手は若年から頚椎の変性が進みやすいと報告されています[1]。
頚椎症性神経根症は、頚椎症による変性が神経根を圧迫しその神経根が支配する領域に痛み、痺れ、感覚・運動障害などが生じる状態をさします。
頚椎症性脊髄症は、頚椎症による変性が脊髄を圧迫しその神経根が支配する領域に痛み、痺れ、感覚・運動障害などが生じる状態をさします(図2)。
脊髄は中枢神経で下肢も支配するため、下肢の症状が生じることもあります。また、四肢の反射が亢進するという症状も出ます。
頚椎症性神経根症・脊髄症が起こりやすい原因
加齢変化により頚椎の変性が生じます。
また、前述した通り、コンタクトスポーツによって頚部への衝撃が加わる経験が多いと頚椎症になりやすいと言われています[1]。
また、姿勢が悪いと頚部への負荷が増えるため、症状が生じやすくなります。
姿勢が悪いことが最大の原因かもしれません。
頚椎症性神経根症のよくある症状
・首が痛い、上肢が痺れる・痛む・力が入らない
・首が痛い、上肢が痺れる・痛む・力が入らない・細かい動きがやりにくい、下肢近位筋に力が入りにくい
上肢の痺れや痛みが主な症状です。
脊髄症の場合は、下肢へ症状が出る場合もあります。
首を動かすと症状が出現することもあります。
病院で行う検査
X線やCTで骨の変性の有無や程度などを確認します。
また、MRIで脊髄への圧迫の有無などを確認します。
基本的には、問診(痛みがでる状況の確認など)、触診(神経圧迫部位のチェック)、スペシャルテスト(Spurlingテスト、脊髄反射、筋力検査、感覚検査など)を行います。
頚椎症性神経根症・脊髄症と診断されたら
基本的には保存療法が適応されますが、変性が大きく脊柱管狭窄などがある場合は手術療法が選択されることもあります。
また、脊髄狭窄が明らかな場合は、コンタクトスポーツへの参加は非常に危険であるため(脊髄損傷が生じやすい)、ドクターストップがかかる場合もあります。
頚髄損傷が生じると↓命にかかわる場合もあるため、慎重に治療方針を決めましょう。
神経症状の管理なども非常に重要になりますので、しっかりと病院でサポートを受けながら段階的にリハビリを行いましょう!
頚椎症性神経根症・脊髄症のリハビリテーション
保存療法でリハビリを行うケースについて説明をしていきます。
リハビリのポイントは、「神経に負担がかからない良い姿勢」、「頚部や胸部に過度な負担がかからない動作・機能」の習得です。
リハビリの期間は目安ですので、専門医の先生の指示に従って進めましょう!
✅ 痺れ・痛みが悪化していないこと!
✅ 姿勢が良く、肩甲骨・体幹が安定している
・脊柱の歪み、姿勢の改善
・体幹・肩甲骨の筋肉のマイルドな筋トレ
・横隔膜を使った呼吸の練習
日常生活で症状が増悪するシーンを調べ、なるべくそのシーンを避けられるようにしましょう!
・上半身・下半身のトレーニングを開始
・徐々にスポーツ動作を開始(コンタクトはなし)
姿勢と筋肉のハリは要チェックです!
・スポーツ動作の姿勢チェック
・徐々にコンタクト動作を開始
・体幹トレーニングは継続!
そうなると動きが硬くなり、姿勢が悪くなりやすいので注意が必要です!
まとめ
ここまで、頚椎症性神経根症・脊髄症の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
頚椎症性神経根症・脊髄症は難渋する場合も多いです。
しっかりと治して再発しない身体で復帰しましょう!
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
〈お問い合わせ〉からお気軽にご連絡ください!
参考文献
[1]Berge j, et al. Age-related changes in the cervical spines of front-line rugby players. Am J Sports Med. 1999 Jul-Aug;27(4):422-9.:
[2]