グロインペイン症候群とリハビリテーション

今回はグロインペイン症候群(Groin Pain Syndrome:GPS )の対処法について書いていきます。

グロインペイン症候群は、鼡径部に痛みが生じ、痛みの長期化や再発がよく起こるとても悩ましいケガです。

筋力や身体の使い方・歪みをしっかりと改善しないと痛みが残ってしまう場合が多いです。

そのため、リハビリが非常に重要です!

今回はそんなグロインペイン症候群についてリハビリのポイントを解説していきたいと思います!

 

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グロインペイン症候群とは?

グロインペイン症候群は、股関節や鼡径部に痛みが生じる慢性的なスポーツ障害です[]。

「グロイン(groin)=鼡径部」、「ペイン(pain)=痛み」ですので、グロインペインは鼡径部周囲に生じた筋肉の損傷や骨折、股関節病変などすべての痛みの原因を示す言葉です。

鼡径部はいろいろな筋肉や関節、血管や神経などの多くの組織が重なり合っているため、複数の所見が出たり、難治性であったり再発しやすいという特徴があります。

筋肉や骨に構造的な損傷がない場合でも、痛みや炎症が長期化することがあります。

 

グロインペイン グロインペイン症候群
図1:グロインペイン症候群のイメージ図。色々な筋肉が交差しているため、痛みが出やすいです。

 

あきと

少し前までは、筋肉や骨の損傷がないものを「グロインペイン症候群」と呼んでいましたが、MRIなどの診断技術が上がってきたため、多くのグロインペインで器質的な問題が見つかるようになってきました。

グロインペイン症候群になりやすいシーン

グロインペイン症候群は、特に急激な方向転換や加速・減速が頻繁に行われるスポーツで発生しやすいです。

サッカーやラグビー、バスケットボールなどでは、股関節や鼠径部にかかる負担が大きく、筋肉や腱の過度な使用が原因で発生します。

特にサッカーでは、キック動作によって痛みが発生する場合が多いです。

 

 

グロインペイン症候群のよくある症状

・股関節を伸ばす・力を入れていると痛い
・キックをすると痛い
・走ると痛い
・歩くと痛い
・腹筋をすると痛い
・くしゃみ/せき/トイレで力むのが痛い

主な症状は、鼡径部の痛みです。

恥骨周囲、股関節屈筋由来、腹直筋由来、内転筋由来、骨盤底筋由来など様々な痛みが出現します(図2)。

グロインペイン
図2:グロインペン症候群の痛みが出やすい部位のイメージ図。

 

痛みは多岐にわたり、症状が悪化すると日常生活での痛みも感じ始め、腹筋、くしゃみなどでも痛みを訴えることがあります。

 

病院で行う検査

グロインペイン症候群の診断は、一般的に診察で行います。

その後、痛みの原因を特定するために、X線MRI、で骨や軟部組織の損傷の有無を確認します。

痛みが表層の場合は超音波検査や、骨の細かい損傷を検査する場合はCT検査が行われることもあります。

 

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(筋肉の伸長時・収縮時痛)などを行います。

             

グロインペイン症候群と診断されたら

基本的には保存療法で復帰を目指します。

あきと

しっかりと専門のスポーツドクターに相談しながら治療方針を決めていきましょう。

ここからは、グロインペイン症候群のリハビリについて説明していきますね。

 

グロインペイン症候群のリハビリテーション

保存療法でのリハビリのポイントを解説していきます!

リハビリのポイントは、「患部の治癒」「股関節・骨盤の歪み・動きの改善」、「体幹の安定性の改善」、「全身の連動性の改善」です!

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
リハビリ前期(筋肉の伸長時痛・収縮時痛がある時期 1週間〜6週間)
・骨盤・背骨の歪みを改善する(←胸郭、股関節、太ももの筋肉のストレッチ・ほぐし)
・呼吸の練習!(←腹圧など)
・その他痛みの出ない患部外トレーニング

あきと
腹筋の筋トレでも患部に負担がかかってしまうため、エクササイズ内容は十分注意して病院の先生に許可をもらったエクササイズを行いましょう!
リハビリ中期(伸長時痛・収縮時痛なし 1〜10週間)
・股関節のストレッチ!
・もも前のストレッチ!
・お尻、股関節、太ももの筋トレ!
・腹筋などの体幹の筋トレ!
・スクワット・片脚スクワットなどの荷重トレーニング!
・痛みなく患部の筋トレを開始してから1~2週後の徐々にジョギングをスタート!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①~③を達成できるようにしましょう!
①股関節のストレッチで左右差なし
②片脚のスクワットが左右とも安定してできる
③もも上げ動作で、痛みも左右の感覚の差もない

あきと
ドクターの許可が出てから、痛みと動作が安定したのを確認し、ジョギングを開始しましょう!
リハビリ後期(リハビリ中期の強度を上げても痛みが出ない 8週〜16週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・各種スポーツ動作を開始する!(キック動作などは要注意!)

・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
キック、ダッシュの動作は患部への負担が大きいため、特に注意が必要です!
運動した後の押した痛み股関節の筋肉の硬さは要チェックです!
復帰期(競技の強度を上げても痛くない 12〜20週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「圧痛」と、「筋の硬さ」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!

まとめ

グロインペイン症候群は、スポーツ選手に多く見られる慢性の股関節痛です。

適切な診断と治療を受けることで、長期的な痛みを軽減し、競技復帰が可能になります。

初期段階での発見と、適切なリハビリや筋力トレーニングが重要です。

正しい身体の使い方を覚えないと痛みが再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

 

あきと
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参考文献

[1]Harmon KG. : Evaluation of groin pain in athletes. Curr Sports Med Rep. 2007 Dec;6(6):354-61.

 

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