FAIとリハビリテーション

今回は股関節インピンジメント(FemoroAcetabular Impingement:FAI 、大腿骨寛骨臼インピンジメント)の対処法について書いていきます。

FAIは股関節の痛みや可動域の制限を引き起こし、特に若年層やアスリートに多く見られる悩ましいケガです。

骨の形態異常がベースにあるため、周囲の筋肉の硬さなどが相まって症状をより強く感じてしまいます。

そのため、リハビリが非常に重要です!

今回はそんなFAIについてリハビリのポイントを解説していきたいと思います!

 

スポンサーリンク

FAIとは?

FAIは、大腿骨頭と寛骨臼の形状異常により、骨同士が衝突し、股関節の痛みや可動域制限、関節唇や軟骨の損傷につながってしまう状態をさします]。

主にカム型(Cam、大腿骨側の異常)とピンサー型(Pincer、寛骨臼側の異常)、およびその両方の混合型(Comcined)があります(図1)。

 

FAI FemoroAcetabular Impingement 大腿骨寛骨臼インピンジメント
図1:FAIの説明図。大腿骨側の異常をCam型、寛骨臼側の異常をPincer型、両者をもつCombined型に分類されています。

FAIになりやすいシーン

FAIが発生しやすいスポーツについては定かではありませんが、股関節を深く屈曲・内旋する動作を頻繁に行うスポーツ(例:サッカー、バレエ、ホッケー)では痛みが生じやすく、検査の結果FAIと診断されるケースが多いです。

長時間の座位、不適切な姿勢、股関節に過度な負荷をかける反復的な動作などで痛みが発生しやすいです。

 

 

FAIのよくある症状

・股関節の可動域制限
・股関節の痛み(深い屈曲や内旋運動時)
・長時間の座位姿勢後の股関節の不快感

主な症状は、股関節の可動域制限と股関節周辺の痛みです。

特に股関節を深く曲げたときなど、大きく動かしたときに痛みを感じやすいです。

 

Cサイン c-sign
図2:FAIの痛みを訴える場所のイメージ図。股関節の深い位置の症状のため、明確な痛みの場所を示すよりも、「このへん」と訴えることが多いです。その時の手のポジションが「C」型のため、Cサインと呼ばれています。

 

病院で行う検査

FAIの診察は、「症状」「臨床所見」「画像所見」の3つを確認します[]。

画像検査では、基本的にX線検査(レントゲン)を行います。

更に詳細な骨形態を確認するためにはCT検査を、関節唇などの軟部組織を含めて検査する時はMRI検査を行います。

ベッド上の診察では、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(FADIRテスト、FABERテスト)などを行います。

 

あきと

FAIの診断には、日本股関節学会FAIワーキンググループが公開している、
FAI診断指針」が用いられています]。
CE角など、基準がとても明確に記載されています。

あおい

FADIR(flexion adduction internal rotation)テストは、屈曲 内転 内旋テスト
FABER(flexion abduction external rotation)テストは、屈曲 外転 外旋テスト
ですね!

 

FAIと診断されたら

基本的には保存療法で復帰を目指します。

一方で、FAIは手術療法が適応される場合もありますので、しっかりと病院を受診しましょう。

 

あきと

しっかりと専門のスポーツドクターに相談しながら治療方針を決めていきましょう。
FAIの手術をしたアスリートの復帰についてまとめた研究では、アスリートの復帰率は74%復帰までの平均期間は7.0±2.6か月と報告しています。

 

ここからは、FAIのリハビリについて説明していきますね。

 

FAIのリハビリテーション

保存療法でのリハビリのポイントを解説していきます!

リハビリのポイントは、「股関節・骨盤の歪み・動きの改善」、「股関節・体幹の安定性の改善」、「全身の連動性の改善」です!

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・痛み・可動域制限が悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
リハビリ前期(股関節を動かして痛みがある時期 2週間〜4週間)
・骨盤・背骨の歪みを改善する(←胸郭、股関節、太ももの筋肉のストレッチ・ほぐし)
・呼吸の練習!(←腹圧など)
・臀筋の筋トレ!

・その他痛みの出ない患部外トレーニング

あきと
痛みがないエクセサイズは積極的に行いましょう!
筋力が落ちるとその後鍛えるのが大変になります!
リハビリ中期(基本的に痛みなし、股関節の最終域でつまり感が残る場合もあり 2〜8週間)
・股関節・体幹のストレッチ!
・体幹・股関節の積極的な筋トレ!
・スクワット・片脚スクワットなどの荷重トレーニング!
・痛みなく患部の筋トレを開始してから1~2週後の徐々にジョギングをスタート!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①~③を達成できるようにしましょう!
①股関節のストレッチで左右差なし
②片脚のスクワットが左右とも安定してできる
③もも上げ動作で、痛みも左右の感覚の差もない

あきと
ドクターの許可が出てから、痛みと動作が安定したのを確認し、ジョギングを開始しましょう!
リハビリ後期(リハビリ中期の強度を上げても痛みが出ない 4週〜12週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・各種スポーツ動作を開始する!(キック動作などは要注意!)

・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
股関節に大きな力がかかる、股関節屈曲が深い位置動作は、特に注意が必要です!
運動した後の股関節を動かしたときに痛みは要チェックです!
復帰期(競技の強度を上げても痛くない 8〜16週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
股関節の可動域は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!

まとめ

FAIは、スポーツ選手に多く見られる慢性の股関節痛です。

骨盤や背骨の歪みなど、身体の使い方の悪さが症状に大きく影響しますので、適切なリハビリや筋力トレーニングが重要です!

正しい身体の使い方を覚えないと痛みが再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

あきと
【お知らせ】
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
などご要望をお受けしています!
〈お問い合わせ〉からお気軽にご連絡ください!

参考文献

[1]Matsumoto K et al,. : The history of femoroacetabular impingement. Bone Joint Res. 2020 Sep 20;9(9):572–577.

[2]山藤崇 ら. FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)・股関節唇損傷 - 講座 スポーツ整形外科学4 体幹のスポーツ外傷・障害. p204-211. 中山書店. 2022年.

[3]日本股関節学会FAIワーキンググループ. Hip Joint 2015 Vol.41

 

スポンサーリンク
おすすめの記事