今回は足関節捻挫をしてしまったときの対処法について書いていきます。
足関節捻挫は何と言ってもスポーツで一番発生が多いケガです。
そして、後遺症(再発や痛みの残存)にもなりやすく、受傷から半年後でも約40%が後遺症を訴えているというデータもあるんです![1]
今回はそんな足関節捻挫について解説していきたいと思います!
足関節捻挫とは?
足関節捻挫とは足首を捻ることによって、足関節の靱帯を損傷している状態をさします。
捻る方向によって分類でき、つま先が内側に向く「足関節外側靭帯損傷(回外・内がえし捻挫)」と、外側に向く「足関節内側靭帯損傷(回内・外がえし捻挫)」、下に向く「底屈捻挫」、上に向く「背屈捻挫」があります。
圧倒的に外側靭帯損傷が多く、次に内側靭帯損傷が多いです。
底屈捻挫や背屈捻挫は一般的な呼び名ではなく、足関節捻挫の受傷機転が底屈(背屈)だったと示されることもあります。
①内がえし/外がえし:前額面上の運動
② 背屈/底屈 :矢状面上の運動
③ 内転/外転 :水平面上の運動
④ 回外 :内がえし+底屈+内転の複合運動
⑤ 回内 :外がえし+背屈+外転の複合運動
内反/外反という言葉は使わなくなりそうですね。
各捻挫と損傷されやすい組織を下にまとめました。
- 回外捻挫:前距腓靱帯、踵腓靱帯、(前下脛腓靱帯)、(二分靭帯)、(後距腓靭帯)、(腓骨筋腱)
- 回内捻挫:三角靱帯
- 底屈捻挫:前距腓靱帯、前下脛腓靱帯、(リスフラン靱帯)、(三角骨障害)
- 背屈捻挫:前下脛腓靱帯、(骨挫傷)
損傷はI度、Ⅱ度、Ⅲ度と分類され、復帰まではI度では1~3週間、Ⅱ度では4~8週間、Ⅲ度では約3ヶ月かかると言われています。
アメリカの高校で発生した足関節捻挫5379件の損傷靱帯をしらべた研究では、足関節捻挫の85.3%が前距腓靱帯を損傷していたと報告しています[3]。
足関節捻挫を起こしやすいシーン
方向転換動作やジャンプ着地、人の足を踏んでしまうなどのアクシデントで足関節捻挫が起こります。
接触をして全体重が乗ってしまった場合や、「バキッ」など音が鳴った場合は骨折を伴う場合もあるので必ず病院を受診しましょう!
足関節捻挫後のよくある症状
4つに分けてそれぞれ書いていきます!
また、損傷がひどいときはもっと多くの症状が出ますので、典型的な症状だと思って下さい。
・足関節底屈・内反(つま先を下・内に向ける)が痛い
・足関節背屈・外反(つま先を上・外に向ける)が痛い
・足関節底屈(つま先を下に向ける)が痛い
・足関節背屈(つま先を上に向ける)が痛い
病院で行う検査
軽度の損傷の場合は、診察のみで足関節捻挫と診断がつく場合もあります。
エコー検査も併用するとより正確な診断が可能です。
一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、スペシャルテスト(前方引き出しテスト、内がえし・外がえしストレステスト)などを行います。
重症例ではMRI検査で損傷の程度を確認する場合があります。
足関節捻挫と診断されたら
基本的には保存療法となります。
中等度損傷の場合は、復帰段階でも靱帯の緩みが残ることが多いですので、その分膝周囲の筋力をアップさせるリハビリが非常に重要です。
内反捻挫でもっとも損傷されやすい前距腓靱帯は、無くなってしまってもスポーツ可能だと言われています。
しかし、捻挫をくり返し過度にぐらぐらになり、パフォーマンス低下に繋がる場合は手術療法も適応されます。
そうならないように初回受傷後のリハビリが非常に重要です!
足関節捻挫の保存療法
基本的にはこの保存療法でリハビリを行い、復帰を目指します!
保存療法のリハビリテーション
中等度の損傷をイメージしてリハビリの流れを記載しています!
期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
寝ている間は、足首を90°に固定し、軽く圧迫しましょう。
RICE処置の質が悪いと痛みや腫れが残り、今後のリハビリが大変になります...
・周囲筋の筋トレ!(←足首周囲の筋トレ)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
まとめ
ここまで、足関節捻挫後の方針やリハビリテーションについて書いてきました。
足関節捻挫は痛みが残りやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!
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参考文献
[2]日本足の外科学会HPより. 足関節・足部・趾の運動に関する用語【告知】関節可動域表示ならびに測定法改訂について(2022年4月改訂)