今回はJones骨折(ジョーンズ骨折、第5中足骨疲労骨折)をしてしまったときの対処法について書いていきます。
Jones骨折はサッカーやバスケットボールなど、切り返し動作の多いスポーツで発生しやすい疲労骨折です。
難治性の疲労骨折に分類され、保存療法では44%が治療成績が不良であったというデータもあるんです 😥 [1]
今回はそんなJones骨折について解説していきたいと思います!
目次
Jones骨折とは?
Jones骨折とは、足の甲の外側にある第5中足骨が疲労骨折を起こした状態をさします。
第5中足骨にくり返し負荷が加わり、金属疲労のように徐々にヒビから完全骨折に至るケガです。
ヒビの段階で見つかることもありますし、完全骨折をしてから気がつくこともあります。
完全に骨折してしまうと、手術療法の適応になります。
過去の研究では、手術療法の方が骨の癒合期間が短く、治療成績も良好であったと報告されています[1]
ヒビの段階では、プレーを継続しながらの治療も可能な場合もありますが、もちろんプレー中に完全骨折してしまうリスクもあるため専門医の先生とよく相談する必要があります。
詳しくは後述しますね。
Jones骨折を起こしやすいシーン
方向転換動作のくり返しで起こりやすいと言われています。
特に足の外側に体重が乗ってしまう動きや、もともと靴の外側がすり減ってしまうような外側荷重のクセがある選手は要注意です。
踏み込み動作などで、「バキッ」など音が鳴った場合は必ず病院を受診しましょう!
Jones骨折のよくある症状
・足の外側をついて歩くことができない
・プレー中に体重がかかると痛いことがある
病院で行う検査
Jones骨折の診断にはレントゲン検査が必要になります。
他にもスクリーニング目的でのエコー検査、骨の炎症の有無を確認する目的のMRI検査、骨折の詳細を把握するためのCT検査を行うこともあります。
一般的には、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、荷重時痛の確認などを行います。
Jones骨折と診断されたら
- 完全骨折:ほとんどの場合で手術療法の適応となります。
- ヒビ:保存療法か手術療法を選択して治療する必要があります。
そして、この選択が非常に難しいんです。
詳しく説明しますね。
ヒビの場合の治療選択で考慮すべきこと
保存療法と手術療法と前述しましたが、実際には選択肢が3つあります。
「プレーを休んで骨を治療する」、「プレーを続けてケアを行い、治癒を期待する」、「プレーを休んで手術をする」の3つです。
以下にそれぞれのメリットデメリットを挙げてみました。
プレーを休んで骨を治療する | プレーを続けてケアを行う | 手術する | |
メリット | ○完全骨折するリスクが無い | ○プレーを続けられる | ○3〜4ヶ月で復帰を目指せる |
デメリット (リスク) |
×そもそも癒合しない可能性もある ×短期間で癒合する可能性は低い (癒合までの期間は約6ヶ月〜1年) |
×プレー中に完全骨折する可能性あり ×骨が治癒しない可能性あり ×治癒したとしても早くて半年ほど |
×手術の合併症の可能性あり |
この治療方針の選択は非常に悩ましいですね。
単純に休めばOKと思っていると、癒合が全然進まずガッカリしてしまうことになるかもしれません。
手術をすると、保存療法より癒合する可能性がもちろん高いですが、それでも個人差があるため癒合が遅れてしまう場合もあります。
専門医の先生と連携を取りながら、しっかりと納得して治療方針を決めていきましょう。
Jones骨折のリハビリテーション
治療方針の決定も大切ですが、平行して行うリハビリも非常に重要です。
疲労骨折は繰り返される負担で発生するため、「リハビリでその負担を減らす」ことができないと復帰しても再発するリスクが高いんです。
リハビリのポイントは「骨の治癒」と「外側荷重の改善」です!
それぞれ説明しますね。
骨の治療
骨の治療に有効なことは主に3つあります。
「ビタミンD」、「超音波骨折治療法」、「衝撃波治療」です。
ビタミンD
ビタミンDが不足すると他の疲労骨折と同様にJones骨折になりやすいと言われています[2]
ビタミンDのを補給するためには、ずばり「日光浴」と「魚・きのこを食べる」ことです!
日光にあたると皮膚でビタミンDが産生されるみたいです!
栄養には詳しくないので、「ビタミンDはどんな食べ物に含まれる?1日の摂取基準やはたらきは?」をご参照ください。
身近な食材では、「しらす干し」、「いくら」、「べにざけ」、「まいわし」、「そうだがつお」、「さんま」、「干し椎茸」に多いそうです!
食品も干してあると日光でビタミンDが増えるのでしょうか?
超音波骨折治療法(低出力超音波パルス:LIPUS:Low Intensity Pulsed Ultrasound)
骨折治療の王道治療機器です。
研究でも骨折の癒合を促進する中等度〜高度なエビデンスが報告されています[3]。
LIPUS機器を置いているクリニックや治療院も増えてきたのではないでしょうか。
※普通の超音波治療機器とは別で、特別な出力設定になっていますので、骨折治療専用の超音波機器を使って下さい。
さまざまな企業からLIPUSの機器が出ています。
基本的には医療機関に通院して使用しますが、たくさん使用した方が良いため、貸出可能な機器もあります。
体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy :ESWT)
近年、超音波骨折治療器よりも注目を集め始めた治療です。
偽関節という骨折が治らなかった症例でも体外衝撃波治療で治癒する例が報告されています「4」。
「収束型」と「拡散型」の衝撃波があり、収束型が本命ですが、拡散型も効果があるという報告も出てきています。
日本では、足底腱膜炎にしか保険適応されていないため、Jones骨折に収束型体外衝撃波を当てる場合は保険適応外で1万円以上する施設が多いです。
また、収束型は機器が高額のため台数が少ないです。
治療を希望される場合は調べてから病院に行きましょう!
Jones骨折の術後リハビリテーション
手術後にイメージでリハビリの流れを、説明していきます!
保存療法の方も、自分が許可されている段階の部分まで同じようなリハビリができますので参考にしてみてください。
期間は目安ですので、病院の先生の指示に従って進めていきましょう!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
硬い足首の選手はJones骨折になりやすいんです!
必ず「母趾球荷重」を意識して行います!
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
骨癒合を確認しながら徐々に復帰していきましょう!
まとめ
ここまで、Jones骨折の治療方針やリハビリテーションについて書いてきました。
Jones骨折は治癒が遅かったり、再骨折も多かったりと大変なケガですが、根気強くリハビリをしていきましょう!
「もっとこれが知りたい!」「こんな記事を書いて欲しい!」「ケガのことを相談したい!」
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参考文献
[4]Alkhawashki H.M. : Shock wave therapy of fracture nonunion. Injury 46(11): 2248-52. 2015