後脛骨筋腱炎とリハビリテーション

今回は後脛骨筋腱炎の対処法について書いていきます。

後脛骨筋腱炎はランナーなどの走行距離が多いスポーツの選手や、足関節捻挫の合併症・後遺症で多いケガです。

痛みが出た原因を取り除かないと、休んだだけでは痛みが引きにくい厄介なケガです。

今回はそんな後脛骨筋腱炎についてポイントを解説していきたいと思います!

 

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後脛骨筋腱炎とは?

後脛骨筋腱炎とは足の舟状骨(楔状骨にも)に付着する後脛骨筋腱が炎症を起こして痛みが出ている状態をさします(図1)。

内くるぶしの下〜後に痛みが出てくるケガです。

 

後脛骨筋
図1:後脛骨筋のイメージ図。後脛骨筋腱(内くるぶし下〜後)の周囲に痛みが出やすいです。

 

後脛骨筋は、つま先を内側に向ける作用と共に、アーチを安定させる役割があります!

逆に言うと、足のアーチが安定していないと後脛骨筋腱に負担がかかります

 

あきと
足のアーチと後脛骨筋は切っても切り離せない関係なんです。
後脛骨筋機能不全はPTTD(Posterior Tibial Tendon Dysfunction)と呼ばれて、扁平足と一緒に多く研究されています[]。

後脛骨筋腱炎を起こしやすいシーン

足のアーチが低下している状態ランニングなどの運動を繰り返すことで後脛骨筋腱炎が生じます。

また、足関節捻挫などの外傷に併発して起こる場合や、捻挫後の腫れや不安定な足首の影響で2次的に後脛骨筋腱炎が生じる場合があります。

 

後脛骨筋腱炎のよくある症状

・後脛骨筋が腫れる/痛い(図2)
・後脛骨筋腱を押すと痛い(図2)
・ジャンプをすると痛い
・つま先立ちが痛い
・後脛骨筋腱のストレッチ(足の背屈+外転)が痛い

上の項目ほど出やすい症状で、下の項目まで全て痛いと炎症が強い状態かもしれません。

後脛骨筋腱炎
図2:後脛骨筋腱炎の腫れやすい部位、圧痛が出やすい部位のイメージ図。

 

必ず病院でチェックしてもらいましょう!

病院で行う検査

軽度の損傷の場合は、診察のみで後脛骨筋腱炎と診断がつく場合もありますが、エコー検査MRI検査を併用するとより正確な診断が可能です。

一般的には、問診(痛みの出る状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、ストレステスト(伸張時痛、収縮時痛のチェック)などを行います。

             

後脛骨筋腱炎と診断されたら

基本的には保存療法となります。

後脛骨筋腱炎は再発が多いため、再発予防のリハビリが非常に重要です!

ここからリハビリについて説明していきますね。

 

後脛骨筋腱炎のリハビリテーション

リハビリのポイントは、「患部の炎症・柔軟性の改善」、「アーチ機能の改善」、足首・周囲の固定力upです!

アキレス腱症と流れは同じですが、後脛骨筋腱炎では、よりアーチ機能に着目する必要があります!

※リハビリの期間は目安ですので、自分に合った進め方をしましょう!

 

具体的なリハビリメニューは↓の記事を御覧ください!

 

 

リハビリを進めるためのチェックポイント!
・腫れ・痛みが悪化していないこと!
 リハビリの負荷を上げた時に、「リハビリ中」「リハビリ後」「当日夜」「翌日朝」の悪化がなければOKです!
炎症期(歩いて痛い、つま先立ちが痛い時期 ~1週間)
・RICE処置
・足首周囲のほぐし!(←アーチ機能の改善)
・荷重なしで足首周囲の筋トレ!(←座ってカーフレイズ、チューブエクササイズなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
腫れが強い場合は無理しないことが大切です!
腫れの改善と足首周囲のほぐしを重点的に行いましょう!
リハビリ前期(つま先立ち痛くない 1週間〜2週間)
・後脛骨筋腱周囲(腫れの周りや、くるぶしの周囲)・足首周囲のほぐし!(←継続)
・体重をかけた足首周囲の筋トレ!(←立ってカーフレイズなど)
・その他の体重をかけた筋トレをする!(←スクワット、片脚スクワット、ランジなど)
・体幹とお尻の筋肉を鍛える!(←体幹と殿筋の筋トレ)

あきと
アキレス腱よりも痛みが出やすい印象があります!
負荷設定は細かく調整しましょう!
リハビリ中期(ジャンプ、ケンケンが痛くない 2〜4週間)
・ホップなどのジャンプエクササイズを開始する!(←ジャンプ着地の衝撃でも足首を固定する)
・ジョギングを開始する!
・少しずつ直線のランニングスピードをアップする!
ジョギングを開始する前に下の①②を達成できるようにしましょう!
①下腿前傾角度左右差無し
②片足カーフレイズ30回
③ケンケンの着地で踵が安定している(つま先が接地している時に、踵と床面の距離がキープできている)

あきと
ケンケンでも安定できれば、ジョギングで痛みや腫れがでてくるリスクは低いと思います!
リハビリ後期(ランニングしても痛くない・腫れない 3週〜6週)
・スプリント、ステップワーク、ジャンプの練習をする!(←アジリティトレーニングなど)
・リアクション、対人動作の練習とする!(←リアクションドリル、対人練習など)

あきと
動いた後の腫れは要チェックです!
復帰期(強度を上げても痛くない・腫れない 4〜8週)
・1〜2週間かけて段階的に練習に参加しましょう!

あきと
「腫れ」と、「ケンケンした時のぐらつき」は要注意です!
再発しないように復帰後のチェックも行いましょう!
後脛骨筋腱炎とインソール
インソールも非常に重要です!
足のブレを防ぐために内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチにフィットする物を用いましょう。

まとめ

ここまで、後脛骨筋腱炎の方針やリハビリテーションについて書いてきました。

後脛骨筋腱炎は痛みが残りやすく再発しやすいケガですので、基本をしっかりおさえながらリハビリをしていきましょう!

 

あきと
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参考文献

[1]Ross M.H. ら : Exercise for posterior tibial tendon dysfunction: a systematic review of randomised clinical trials and clinical guidelines. BMJ Open Sport Exerc Med 4(1): e000430. 2018

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