今回はオスグット病(Osgood-Schlatter disease)について書いていきます!
スポーツをしている成長期の選手に起こりやすいケガです。
痛みをガマンしてプレーを続けると後遺症が残ってしまう可能性もある、実は要注意なケガなんです。
そんなオスグット病について解説していきたいと思います!
目次
オスグット病とは?
12歳前後のスポーツ選手に発生する、膝下の骨(脛骨)の成長軟骨の炎症や損傷をさします。
成長期には、骨の端に骨端線という成長軟骨があります。
その成長軟骨の細胞が増えることで身長が伸びるのですが、大人の骨より弱い状態なんです。
大人の場合、膝の前に負荷がかかると膝蓋靭帯が炎症を起こしてジャンパー膝になります。
しかし、成長期は膝蓋靭帯よりも膝蓋靭帯が付着している脛骨粗面部の成長軟骨が弱いため、オスグット病になります。
この脛骨粗面部の成長軟骨は4つの成長段階に分類されています。
リハビリする時に重要なポイントになるので、なんとなーく見てみてください。
- C期(Cartilaginous stage):脛骨粗面に二次骨化中心が出現する前(10才以前)
- A期(Apophyseal stage):二次骨化中心が出現する時期(10~12才ごろ) この時期にオスグット病が発生しやすい!
- E期(Epiphyseal stage):二次骨化中心が脛骨の骨端と癒合し舌状結節を形成する時期(13~15才ごろ)
- B期(Bony stage):骨端軟骨板が閉鎖した時期(18才ごろ)
オスグット病になりやすいシーン
オスグット病は繰り返し成長軟骨にストレスがかかることで発生します。
膝に荷重負荷が強くかかる、ジャンプ、ストップ動作、方向転換動作やダッシュなどによって痛みが出やすいです。
オスグット病になりやすい人の特徴
ここからは、オスグット病になりやすい人の特徴を、「直接的な原因」と「間接的な原因」に分類して説明していきます!
※基本的にはジャンパー膝と同じ考え方です。
直接的な原因
- 骨端線の成長段階がC〜E期
- 前ももの筋肉(大腿四頭筋)が硬い
- お皿(膝蓋骨)の位置が悪い
- 前もも内の筋肉(内側広筋)が弱い
また、内側広筋はお皿を制御するために、ものすごく大切な筋肉なので鍛える必要があります!
間接的な原因
- 姿勢が悪くて後方重心
- 股関節がうまく使えていない
- 裏ももの筋肉(ハムストリングス)が硬い
姿勢が悪くなると後方重心になるので、膝の前に負荷がかかりやすくなってしまいます...
また、姿勢が悪くなると股関節も使えなくなるので、負担が膝>>股関節となってしまします...
猫背は百害あって一利無しですね...
オスグット病のよくある症状
オスグット病の人は以下のような症状が出ます。
- 膝下の骨(脛骨粗面)を押すと痛い(圧痛)
- 脛骨粗面が出っ張ってきた
- 階段昇降が痛い
- スクワットが痛い
- 太ももに力を入れると痛い
- 前もものストレッチをすると痛い
初めのうちは押した時の痛みのみの場合もありますが、必ず病院でチェックしてもらいましょう!
病院で行う検査
オスグット病の診断にはレントゲン検査が必要になります。 エコー検査も有用です。
レントゲンで、裂離骨折の有無や成長段階のチェックをしてもらいましょう。
レントゲンの他にも、問診(怪我した状況の確認など)、触診(痛みのある場所のチェック)、ストレッチ痛の確認、収縮時痛の確認、荷重時痛の確認などを行います。
オスグット病のリハビリテーション
オスグット病のリハビリテーションは、「復帰の判断(運動量のコントロール)」と、「再発しないためのリハビリ」が大切です!
まずは、復帰目安について説明していきます!
成長段階とスポーツ復帰の目安
オスグット病のリハビリテーションは、2つのチェック項目を確認しながら進めていきます!
このチェック項目はめちゃめちゃ大切なので、よく確認しておいて下さい!
- 圧痛(押した痛み)
- 荷重時痛(両足/片足スクワットの痛み)
- 収縮時痛(膝を伸ばしきって力を入れた時の痛み)
- ストレッチ痛(前もものストレッチをした時の痛み)
- C期(Cartilaginous stage)
- A期(Apophyseal stage)
- E期(Epiphyseal stage)
- B期(Bony stage)
C期、A期の進め方
特にA期では脛骨粗面が弱い時期です。
この時期に無理してしまうと、裂離骨折を発症したり、痛みが長引いてしまう可能性があります。
そのため、この時期には、「①痛みチェックの全ての項目が痛くない」ことがスポーツ復帰の条件となります。
E期の進め方
基本的にはC期、A期と同じですが、脛骨粗面は少し強くなってくる時期です。
そのため、「①痛みのチェックで、2.荷重時痛なし、3.収縮時痛なし、4.ストレッチ痛なし」がスポーツ復帰の条件となります。
1.圧痛ももちろん無くなっていた方が良いですが、最悪多少残っていても後遺症になる可能性は低い時期になります。
少しでも悪化する場合は運動量をコントロールしましょう!
B期の進め方
この時期は骨端線が閉鎖しているため、オスグット病と言うよりもジャンパー膝に近い考え方になります。
(成長軟骨の脆弱性を考慮しなくて良くなります。)
しかし、もちろん何やっても良いというわけではありません。
この時期の最低限の復帰条件は、「①痛みのチェックで、3.収縮痛なし、4.ストレッチ痛なし」になります。
ここで注意ですが、↑の条件を見て、「圧痛と荷重時痛はあってもいいんだ!」と思わないでくださいね。
あくまで、「伸ばして痛くない」、「MAXで力を入れても痛くない」が最低条件で、その2項目ですら痛いのであれば練習は休むべきという考え方です。
そして、運動後の荷重時痛、圧痛を必ずチェックして悪化がないか確認しましょう!
オスグット病 改善+再発予防のためのリハビリテーション
ここからはオスグッド病のリハビリの流れについて説明していきます!
具体的なエクササイズメニューのやり方については↓の記事をご覧ください。
オスグッド病の炎症をコントロールするアイシング
オスグット病は炎症をコントロールがとても大切です。
そのため、痛みが強い場合は「アイシング」を必ず毎日続けましょう。
15分〜20分を1セットとして、数セットくりかえすと良いと思います。
冷やす時間は30分以内、アイシングを終えてからもう一度アイシングをするまでに1時間程時間を空けましょう!
自宅でできるオスグット病のためのストレッチ
- 前もものストレッチ
→直接的な原因の前ももをストレッチします。痛みがある場合はストレッチはせず、ボールでほぐしましょう! - 裏もものストレッチ
→間接的な原因の、姿勢の悪さや重心を改善するために行います - お尻のストレッチ
→間接的な原因の、姿勢の悪さや重心を改善するために行います - 胸郭のストレッチ
→間接的な原因の、姿勢の悪さや重心を改善するために行います
自宅でできるオスグット病のためのエクササイズ
- 内側広筋の筋トレ
→お皿の安定性を改善します - 殿筋の筋トレ
→股関節の安定性を改善します - 姿勢を正す筋トレ
→間接的な原因の、姿勢の悪さや重心を改善するために行います - 片足スクワット
→片足で荷重しても、姿勢を安定させられるように意識します
まとめ
オスグット病は成長期に起こりやすいケガですが、裂離骨折が生じて後遺症が残るとやっかいです。
後遺症を残さないためにも、プレーして良い状態なのかどうか「痛みのチェック」と「成長段階」から適切に判断しましょう!
病院の先生と相談しながら再発せずに復帰を目指していきましょうね。
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